人工知能(AI)を活用して細胞や疾患の画像を解析する東大発ベンチャー、エルピクセルが10月末にオリンパス、富士フイルム、CYBERDYNEなどから総額約30億円を資金調達した。第三者割当増資にヘルステックへ力を注ぐ医療機器大手らが応じたものだ。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第1特集「製薬 電機 IT/医療産業エリート大争奪戦」に登場したエルピクセルの島原佑基代表取締役のインタビュー拡大版をお届けする。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

――医療・ヘルスケアのベンチャーと言えば過去10年、20年は創薬系のバイオベンチャーが中心でした。総じて多額の資金を必要とし、薬などを商品化して投資回収するまでにすごく時間がかかっていました。ハイリスクでハイリターン。今増えているヘルステック系ベンチャーはどうなのでしょうか。

島原佑基・エルピクセル代表取締役 Photo by Masato Kato

 いわゆるITベンチャーは、より短いスパン、例えば1~2年で黒字転換するところもあります。われわれのようなAIを使った技術系のソフトウェアベンチャーは、バイオベンチャーとITベンチャーの中間にいると思います。

 タイムスパン的にITベンチャーほどのスピード感ではないけれども、バイオベンチャーよりは早く世に出せる。参入のための設備投資などは、もっとITに近い。でもソフトウェアが医療機器的な扱いになるので、臨床試験をやって国から承認、認証を得るための時間やコストが必要。この辺はバイオベンチャーに近いんです。

――IT系をローリスクとするならば、ミドルリスクぐらい?

 そんな感じです。

――疾患の診断をサポートするものとして、AIを活用した医療画像診断支援技術「EIRL(エイル)」の開発に取り組んでいます。商品化はまだですよね?

 承認認証など法的な手続きを進めているところです。

――商品化されたときはこの技術を使ったAI診断というものに対し、だれが支払い側になるのでしょうか。

 それはまだ議論の余地があるところ。医療機器ベンダーが自社の機器を差別化するために買って取り込むかたちもあるでしょうが、別のビジネスモデルができるかもしれない。効率的に診断ができるようなシステムは費用対効果が高いと判断した医療者側がAIアプリに都度課金で例えば500円で利用するとか、患者自身がそうしたAI技術を使っている医療機関を選んで追加費用を払って診断を受けるとかもあり得るかもしれません。