「おごって」と言う女性におごりたいか?
固定観念と本音の間で揺れ動く男心

 もう1つの疑問は、あえて誤解を恐れずにいうが、「そもそも、このようなことを主張する女性におごりたいか」ということだ。

 別に彼女の意見を全て否定しているわけではない。会社の職場に例えるなら、一般論として「上司はおごるべき」と主張する部下を気持ち良く食事や飲み会に誘ってくれる上司がどれくらいいるのだろうか、ということである。

「部下におごるのは当たり前」と思っていた上司がいたとしても、あえて部下からそう言われてしまうと、気持ちが萎えてしまうものだ。

 彼女のエントリーには、「気持ちはわかるけど、それを言ったらおしまいだよ」という感情を男性に抱かせてしまう危うさが、どことなく漂っているように感じる。

 ついでに言えば、この論理は女性にとっても不利に働くのではないか。極論だが、かかった美容費だけおごらなければいけないとすると、「美容費をかけずとも綺麗な女性」に男性の人気が集中するのが、市場の原理だからだ。そうすると、先天的な美しさを持った女性が、がぜん有利になってしまう。

 当然、そもそも「おごる、おごらないとは、そういうことなんだろうか」との思いもある。仮に、女性が美容にかけている費用の額までおごったら、それ以上は割り勘でいいのだろうか。筆者は、できればそんなことを考えずに、デートを思いっきり楽しみたいものだ。


● ロス婚の福音

 かくいう筆者も、このように主張しながら「男がこんなこと言うなんて、女々しいかも」という思いが、頭から離れない。「女性が美しさを提供して、その対価を男性が払う」という考え方自体が古い気がするし、逆に女性の社会的な立場を不利にするのではないかと不安を感じつつも、「男性とはこうあるべき」という固定観念は根強く残っている。

 社会や経済の情勢が移り変わり、当たり前の価値観が当たり前でなくなってきた時代。一方で、古い価値観をすぐに捨て去れるほど、人間は器用ではない。そんな「過渡期」だからこそ、彼女の主張に多くの人が反応し、議論が拡大したのだろう。

 ちなみに、筆者が出した結論はただ1つ。「ケースバイケースでいいのでは?」ということだ。その時々の状況に応じて、おごるか割り勘にするかを考えればいいだけのように思えてしまうのだが……。