「それで、彼はなんて言ったの」

「『彼女のことを嫌いになったわけじゃない。これからもいい友達でいたい』って言ったそうよ」

「うわぁ、それはきついわね。いい友達って嫌だよね」

「嫌だよね。でも私の友達は鈍感なんで、『いい友達でいたいって。これからも仲良くしてね』って明るく告げたそうよ。そしたらね、女性は笑って『ありがとうございます』って答えたんだって。でも」

「でも」

「翌日、自室で首をつってたんですって。遺書もあってね、『人生最後の恋でした。生きる喜びがなくなりました』って書いてあったそうよ」

 ある程度若ければ、どんなつらいことも時間が癒やしてくれると思えるような気がする。しかし、人生の残り時間が「もうわずかしかない」と感じている人は、そうもいかないのだろうか。それとも、単に、我慢したり、耐えたりする力が衰えてしまうのか。

 すっかり怖くなってしまった梓さん、仕事の延長とはいえ、高齢者同士のお見合いのセッティングはもうしたくない気分になっている。

「だって、若い人同士よりも、責任重大ですよね。へたしたら、一生悔やむことになるかもしれないじゃないですか」

(医療ジャーナリスト 木原洋美)