老後のことを考えるといって
「手始めにFXを」の驚き
年末から年始にかけて、為替が円高の方向に動いた。特に年明けには、瞬間的に大幅な円高に振れ、為替投機をやっている人は肝を冷やす場面があったかもしれない。
個人でも外国為替証拠金取引、いわゆるFXは根強い人気があり、書店でも投資のコーナーには関係する本がたくさん並んでいる。筆者はFX投資自体が悪いとは思っていない。数ある投機対象の1つとして考えるのは別に悪くない。
ただ、FXの本質を正しく理解した上で、それを利用して収益を上げようというのであればいいが、よく分からないままに取引を始めようとする人が少なからずいるようである。
その背景には、行動経済学でいう「ヒューリスティック」があるような気がしてならない。
以前、ある会合で初めて会った40代後半とおぼしき女性の方と話をしていたときのこと。その人は「そろそろ老後のことを考えないといけない年齢になってきたので、少しは投資の勉強をしようと思っているのです」と言う。
「なるほど、それは必要なことですね」と、ここまではよかったのだが、次の言葉に筆者は自分の耳を疑った。