60代からの投資
60代から投資を始める方は注意が必要です Photo:PIXTA

 将来、公的年金が減額されるかもしれない不安を感じていると、できるだけ老後に向けて資産の山を築いておきたいと思うもの。まして退職金を受け取った時には「大切な虎の子」ですから、人生100年時代に備え、しっかり増やしておかなければと肩に力が入ってしまう人も少なくはないはずです。

 今回はそんな肩に力が入っている人にこそ話しておきたい、Mさんの話をご紹介しましょう。Mさんは当初、かなりの資産を保有していたため老後の生活が危うくなることはなかったのですが、ある投資商品に関心を持ってしまったのが発端でした。

不動産保有、金融資産も1.5億円
悠々自適な老後が待っていたのに……

 Mさんから相談を受けたのは1996年の1月~2月頃と20年以上前。古い出来事ですが、今でも株式や為替などが急落した際には思い出すことから、その内容は今も決して色あせるものではありません。

 Mさんは、筆者が公的機関の個別相談の担当者(FP相談)の時に相談にこられた東京の下町の方でした。会社を自身で起業した後、60歳まで働き、私がお会いした当時は息子に会社を継がせ、既に仕事をリタイアされていました。

 現役時代の年収は軽く1000万円を超えており、相談時には投資不動産(数階建てのビル)を保有、金融資産も1億5000万円前後保有していたと記憶しています。投資不動産、自宅のローンは既に完済しているため、はたから見れば悠々自適の老後を過ごせる人でした。

 そんなMさんは、ある週刊誌の記事を持参して相談に来られました。その記事は、毎月分配型投資信託がすばらしい収益を上げているというもの。この後は毎月分配型投資信託の歴史の話になってしまいますが、Mさんの相談内容にかかわることなのでお付き合いください。

 近年、劣勢を強いられている毎月分配型投資信託。日本で最初に販売された毎月分配型投資信託は、1995年頃の外国籍投資信託でした。当時の毎月分配型投資信託は、米国の高利回り社債(ハイ・イールド債券)を投資対象とする米ドル建ての商品が主流。準大手証券が販売攻勢をかけ、その残高は数兆円に膨らんでいたのです。