Photo by Kazuhiko Kurabe
昨年から今年にかけて、日本の有名病院の関係者らが韓国やシンガポールなどの病院を相次いで訪れた。訪問先は、米国発祥の国際的な医療施設の機能認証規格、JCIを取得した病院だ。自分たちもJCIを取得するべく、先行する病院を研究するためだ。
JCIは、医療の質を示す“国際標準”規格。東南アジアなど海外では取得する病院は多い。一方、日本では現在、亀田メディカルセンター、NTT東日本関東病院の2病院と、老健リハビリよこはまの合計3施設しかない。
それが年内に審査を受けることが判明している病院だけで、聖路加国際病院、湘南鎌倉総合病院、聖隷浜松病院、相澤病院がある。済生会熊本病院、済生会横浜市東部病院、三井記念病院、千葉西総合病院、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院、札幌東徳洲会病院などでも取得を目指している。
にわかに日本国内でJCIが注目される理由は何か。
規格を取得すれば、海外の保険会社や旅行会社の信用が得られやすく、日本在住の外国人の受診を増やすことが期待できる。海外の病院や大学との提携など、国際展開の面でも有利だ。それらが回り回って国内での評価を高めることにもつながる。
多摩大学の真野俊樹教授は、「従来、海外認知度を高める手段は論文が中心で、大学病院が有利だった。JCIは、民間病院でも海外認知度を高めることができる」と解説する。
厚生労働省は、今夏にも外国人受け入れに適した病院を示す認証制度を始める。新制度下、JCIを事前に取得していれば、有利に働くという思惑もありそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」 山本猛嗣)