それでも8日の閣議後会見では、根本厚労相は「調査中」を連発。報道陣の追及を受けて、厚労省幹部から不正調査の報告を受けたのは、昨年12月20日だったことを明かした。

 翌21日は、「毎勤」の10月分確報の公表された日だ。根本厚労相は、この時には、不正な手法で調査され集計結果が不正確である可能性が高いことを知りながら、統計の公表を認めていたことになる。

 厚労省は3日後の1月11日、「毎勤」の不正調査が04年から15年間続いてきたことを認める報道資料を公表。閣議後会見で、根本厚労相は謝罪した一方で、「組織的な隠ぺいの事実は現時点ではない」と言い切った。

 しかし、その後、組織的隠ぺいを疑わせる事実がまた次々と発覚する。

 一連の問題を受けて1月17日に開かれた統計委員会で明らかになった「毎勤」の基になる資料の廃棄もその1つだ。

 廃棄された資料の種類は複数あるが、最も深刻なのは、「事業所名簿」だ。

 これがないと抽出調査をデータ補正するのに使う「抽出率逆数表」が作れない。

 2010年には、産業分類の変更が行われていることもあって、統計上、過去のデータと時系列で比較可能なデータにそろえるためには、10年の産業分類変更を加味した逆数表を作って、それ以前のデータを補正する必要がある。

 しかし、逆数表を作るのに必要な事業所名簿はすでに廃棄し、残っていないというのだ。

 つまり、2004~2011年の「毎勤」の賃金の統計データが、空白になる可能性が高い。

 08年にリーマンショックがあり、11年には東日本大震災があった歴史的な時期に、日本人の賃金はどれくらい上がったのか下がったのか、正確に把握するデータを、もう手にすることができない可能性が高いのだ。

 これは、「毎勤」の統計を一部、基にして算出されるGDPなどの他の経済指標も同じことがいえる。

 資料廃棄は、厚労省の「お家芸」になってしまったようだ。

「消えた年金」問題の時も、裁量労働制の労働時間の不適正調査データ問題の時も、厚労省が当初は「ない」といっていた資料が、後になって省内の地下倉庫から出てきた前歴がある。

 厚労省がこれまで以上に地下倉庫を捜索し、資料の“発見”に努めることぐらいしか、「毎勤統計の空白」を回避する手段は残されていないのが、悲しい現実だ。