株価下落で落ち込む人Photo:iStock/gettyimages

 【上海】中国で通期の赤字見通しを示している上場企業の数は、過去10年で最大となっている。景気鈍化で事業が停滞し、資産価値が減少したためだ。

 調査会社ウインドによると、上海と深センに上場している企業のうち395社が、2018年通期純損益が赤字になる見通しを示している。これは少なくとも2009年以来の多さだ。赤字は合計で2890億〜3350億元(約4兆6800億〜5兆4300億円)に上る可能性がある。17年通期決算は224社が総計1250億元の赤字を計上した。

 企業は売上高の減少やコスト上昇に加え、在庫や買収に絡む資産の減価償却費の増加にあえいでいる。中でも、15年半ばまでの好景気に乗じて相次ぎ行われた買収は、問題の元凶になっている。

 東呉証券のアナリスト、Deng Wenyuan(デン・ウェニュアン)氏は「多くの企業が買収相手に高すぎるプレミアムを支払った。そうした資産はもはや、そこまで価値がないようだ」と指摘する。

 中国では、通期で赤字見通しになるなどした場合、企業は市場に報告することを義務付けられている。規制に詳しい投資銀関係者によると、証券当局はさらに、買収が成功だったかどうかを3年以内に結論付けるよう、暗黙の条件を課している。つまり、2015年に行った買収案件のせいで、企業はのれん減損と呼ばれる会計上の費用計上を強いられているのだ。

 中原証券の上級アナリスト、Zhang Gang(ザン・ガン)氏は「確かに景気減速と対米貿易摩擦が主因」だとしつつ、全体の損失見通しにおいては「のれん減損も大きな要因となった」と語る。

 現金や工場といった実物資産を上回る評価額で他社を買収した場合、買い手はバランスシートにのれん代を計上する。企業は買収後も毎年、適正価値を推計しなければならないが、その際に景気および業界見通しなどの要因を考慮に入れる。もしそうした要因が悪化すれば、のれん代の評価は引き下げられる。

 浙商証券によると、少なくとも277社が、平均して純資産の46%近い額ののれん減損損失を計上している。アナリストらは、18年の最終値はこれより大幅に拡大するとみている。

 東呉証券のデン氏によると、規制当局がのれん代計上を新システムへ移行させるとうわさされる中、多くの企業が今のうちに一気に費用を計上する手法を選んでいる。代わりにもし、のれん代を数年かけて償却する手法を強いられれば、企業は3年連続の赤字となるかもしれず、そうなれば中国の規制では上場廃止の対象となりかねないという。

 中国会計基準委員会によると、大半の委員が償却ベースの制度を支持しているが、結論は出ておらず、制度変更の期日も設定されていない。

(The Wall Street Journal/Shen Hong)