コメダのモーニングでは、ゆで卵以外に小倉あんを選ぶこともできます(ついでに言うと、卵ペーストを加えた3択での注文になります)。トーストに甘いあんを載せて食べるというのは、他県の人にとっては衝撃のメニューだったようですが、名古屋の人にとっては当たり前の食文化です。

「寿がきや」「世界の山ちゃん」
よりも全国展開に成功している謎

 さて、このように独特な名古屋文化の喫茶店なので、本来であれば東京へ進出するのも一苦労のはずです。実際、コメダよりも歴史が長く、名古屋人の生活にはるかに深く根付いてきた前述の「寿がきや」は、これまで何度も東京進出を試みては撤退を繰り返しています。

 ところが、コメダは東京・大阪にそれぞれ約50店、神奈川に30店強、千葉、埼玉、兵庫、福岡には30店弱という形で、比較的広範囲に人口の多い都市でのドミナント展開に成功しているのです。これがコメダの謎の1つです(もちろん謎解きはこの後でします)。

 名古屋ローカルのコメダの全国展開には、もう1つの謎があります。普通はローカルのお店が東京圏や大阪圏で一定の成功を収めても、そこから全国へは広がらないものです。

 名古屋で人気の居酒屋に「世界の山ちゃん」があります。手羽先や味噌串カツ、〆の台湾ラーメンなど名古屋を代表する食文化の居酒屋チェーンです。この山ちゃんは東京でも成功しており、新宿歌舞伎町など繁華街でその看板を見かけた方も多いと思います。

 この「世界の山ちゃん」(エスワイフード)は、東京・埼玉・神奈川の首都圏でも25店舗と成功しているのですが、全国展開という面から見ると、11都道府県にしか進出できていません。これが飲食チェーンによくあるパターンです。

 ただ、他県に飛び地進出しても採算をとるのは難しいのが、飲食チェーンや小売チェーンの特性です。あのセブン-イレブンでさえ、全国2万店舗を擁しながらも、1つのエリアに数十店を展開してから次のエリアに手を伸ばすというドミナント戦略を、愚直に繰り返して全国制覇を達成しました。

 セブン-イレブンの場合、2014年段階では青森、鳥取、高知、沖縄が店舗のない空白地帯で、そこからまず先の3県に到達し、最後に沖縄に上陸したのが2018年。このように時間をかけて勢力を拡大する戦略展開が、飲食小売チェーンの常識なのです。