これが影響して、内田前監督が日大を相手に起こしている「解雇無効」の民事訴訟が内田前監督の勝訴となると、自動的に復権、つまり日大理事への復職が確定する。それこそ、世間の気分にはまったくそぐわない茶番劇となるのではないだろうか。

 この問題は本来、刑事告訴によって検察庁に判断を託すのでなく、本来はスポーツ側、教育側が主導して真相の解明と改善にあたるべき事案だ。スポーツ側の関東学生アメリカンフットボール連盟は独自に検証し、判断を下した。教育側、つまり当の日本大学側は「一アメリカンフットボール部の問題」との姿勢を崩さず、理事長が一切登場しないばかりか、世間が納得するような具体的な改善策を示していない。このことがやはり本質的な問題点だという認識は、改めて深まるばかりだ。

「不起訴でも無罪放免ではない」
世間が納得する説明とは

 江川さんは自身のツイッターで、以下のようにもコメントしている。

「スポーツ指導、教育として『不適切』だとしても、それを犯罪として処罰するか否かはまた別問題。先入観を排し客観証拠での裏付け捜査に徹した警視庁GJ(=グッジョブの意)と思う」

 江川さんは訴訟を伝える専門家だから、そのような印象を持たれるのだろう。訴訟を知らない僕らからすると、こうした警視庁賛美は気分的にはよくわからない。もしこの問題が、検察庁の判断にそぐわないものなら、「そぐわないから不起訴にしました」「この問題の本質的な解決はスポーツの当事者、大学内部でしっかりと調査、改善すべきものではないか」という立場を、きちんと説明してほしいと思う。

「内田前監督は不起訴ですべて潔白と証明されたわけではありません」とまでは明言できないまでも、無罪放免ではないという示唆をしてくれるだけで、世間も納得し、次に対応すべき課題が見えてくるのではないだろうか。

(作家・スポーツライター 小林信也)