2018年4月からカネカ食品(東京・港区)が販売をしている「パン好きの牛乳」。発売当初、街のベーカリーやパンのイベントのみの限定販売だったが、そのおいしさがパン好きの間で人気を博し、同年11月からは大手スーパーでも取り扱いが始まるなど人気となっている。全国のパン愛好家を魅了する「パン好きの牛乳」の秘密に迫る。(清談社 真島加代)
牛乳市場に異変アリ
若者の牛乳離れが鮮明に
パン食のお供に、みなさんは何を選ぶだろうか。コーヒー、紅茶、カフェラテなど、あまたある“パンのお供”の中でも、安定した人気を誇るのが「牛乳」だろう。パンと牛乳好きであれば、つい手に取ってしまいたくなるのが、カネカ食品の「パン好きの牛乳」だ。
「『パン好きの牛乳』は、その名の通りパン愛好家に向けて作られた牛乳です。発売時には、この牛乳に興味を持った消費者のみなさんが、SNSなどで『私のための牛乳だ!』とコメントしてくれました」
そう話すのは、カネカ食品で「パン好きの牛乳」の開発に携わっているFoods &Agris Solutions Vehicle Agris事業開発グループリーダー・吉岡敏志氏。菓子パンなどを多く扱う同社が、一般消費者向けに牛乳を発売するのはこれが初だという。
「当社が、乳製品事業への本格参入を決めたのは『牛乳市場全体を取り巻く環境の変化』が関係しています。特に、酪農業界の人手不足が深刻化しており、離農する酪農家も後を絶ちません。より持続可能な酪農を推し進めて、乳製品業界全体を活性化するのが、ひとつの大きな目標です」
また、若者の牛乳離れも進んでいることが、同社の調査で明らかになった。1000ml牛乳を購入する層は40~50代がメインだし、売り上げが伸びている200~500mlの少量パックのユーザーも高齢者が多いのだ。
「このまま、酪農家が減り牛乳を飲む人が減っていく現状を変えるには、10~30代の若年層のニーズを獲得する必要があると考えました」