ではなぜニュースになるのか。先輩デスクは「深い意味はない。年中行事の決まり物だと思えばいい」と話していた。

 所得隠しは「仮装・隠ぺい」を伴う悪質な手口を指す。こちらは故意があったと認定されたケースで、ペナルティー(重加算税)も重い。

 ただし「故意」というのは立証が難しい。新聞やテレビで「重加算税を含む申告漏れ総額は…」などと申告漏れを含めて報道された場合、国税当局は指摘を申告漏れにとどめたが、極めて黒に近いグレーと見ていた可能性が高い。

 そして脱税だが、これは国税局の査察部が強制調査し、所得税法や法人税法違反などで検察庁に告発したり、今回の事件のように容疑者が逮捕されたりした「刑事事件」を指す。既に行政処分のレベルではなくなった場合、新聞やテレビでは「脱税」と表現するのだ。

 では、国税が税務調査のきっかけとする端緒は何か。

すべての情報を網羅する国税当局

 今回、三崎容疑者は羽振りの良さをメディアに出演して披露したり、自らSNSで発信したりしていた。筆者が知る限り、これは「墓穴を掘った」と言わざるを得ない。

 というのは、国税当局は査察部に限らず、すさまじい情報収集能力を持つ。情報収集の方法が限られていた時代、国税当局といえども、調査のきっかけの多くは「タレコミ」頼みだった。

 現在は新聞、テレビ、雑誌の報道はすべからく網羅し、ワイドショーやバラエティ番組の情報も細かくチェックしているという。それも税務調査の参考になるネタだけではなく、政治、経済、国際、文化、芸能、医療・科学などといった分野まで、幅広く集めると聞く。