端的にいえば「速くてかっこいいクルマ」がスポーツカーなのだが、技術革新や社会情勢の変化がその市場に影響を及ぼしている。かつてスポーツカーに相対する課題の筆頭は環境問題だったが、近年はマーケットやビジネスモデルそのものの変化の影響が大きい。モビリティ革命やシェリングエコノミーはクルマを移動するための道具として位置付ける。その対極にスポーツカーを中心とした趣味や嗜好のためのクルマがある。

 嗜好品としてのクルマ市場は、縮小傾向にある。かねてよく言われるように、ユーザーはモビリティサービスやシェアリング市場にシフトしつつあるし、自動車メーカー自身がその市場構築や新たなポジション確保へ向け邁進している。

 消費マインドが冷え切った日本は、従来型の自動車販売モデルは特に厳しい。若者の車離れという言葉も使い古されており、単に大衆の購買力がなくなっているのが本当のところだろう。消費増税がトドメを刺しかねない状況だ。

名車・ブランドの復活ブーム

 各社のスポーツカー投入の背景にある戦略は、技術力のアピール、ブランドアイコン、ニッチ市場へのアプローチなどさまざまだ。こうした狙いを具体化する方法としてよく見られるのが名車やブランドを復活させる手法だ。

 長年新型投入がなかった車種、絶版と認識されていた車種の復刻・復活(リニューアルを含む)。長い自動車産業の歴史の中では、名車の復刻版の発売は珍しいことではなく、トヨタは2012年に86(/BRZ)を復活させた。この86は、1983年に市場投入されたカローラレビン、スプリンタートレノの型式番号「AE86」を背景に持つ。ちなみに冒頭に紹介したスープラの源流は、1978年にセリカの上級車として登場したセリカXXまでさかのぼる。