伊藤忠商事は、現在、岡藤正広社長が商売の三原則とする「稼ぐ・削る・防ぐ」(通称「か・け・ふ」)を盛り込んだ2ヵ年の中期経営計画を昨年度から推進中だ。その中で、ITの果たすべき役割として、約150社の国内グループ会社を対象とした「ハイブリッドクラウド環境の構築」などに取り組んでいる。その陣頭指揮を執るIT企画部長の占部真純氏に、同社の経営戦略に対するIT企画部の取り組みについて話を聞いた。

スマートフォン、タブレットPC
を対象に「BYOD」を実現

――岡藤社長が商売の三原則として掲げる「か・け・ふ」をIT企画部の視点で読み解くと、どういうIT戦略になりますか。

うらべ・まさずみ/伊藤忠商事株式会社 審議役 CIO補佐(兼)IT企画部長。1955年生まれ。79年伊藤忠商事入社。入社以来IT関連業務に従事。北米(82~87年、ニューヨーク)、欧州 (94~99年、ロンドン)の2度の海外駐在勤務を経験。2007年繊維カンパニーCIO。11年4月より現職。

 弊社は総合商社で、業種が多岐にわたるため、カンパニー制度を採用しています。現在、「繊維」「機械」「金属」「エネルギー・化学品」「食料」「住生活・情報」という6つのカンパニーがあり、各カンパニーには情報化推進室という組織があります。それに対し、現在、私が主管している総本社のIT企画部は、全社共通システムやITインフラの企画・運用、全社のIT戦略や基本方針の立案、カンパニー情報化推進室と連携したIT化の推進を行っています。

 現在、弊社では、去年から2ヵ年の中期経営計画を推進中です。岡藤正広社長が商売の三原則とする「稼ぐ・削る・防ぐ」(通称「か・け・ふ」)は中期経営計画の副題にもなっています。

 IT企画部と各カンパニーの情報化推進室では、この「か・け・ふ」に対して、ITでどのように貢献していくかを中心に情報化計画を策定し、社長承認を取得した上で、個々の案件を一つずつ着実に実行しているという状況です。

 1番目の「稼ぐ」とは、まさに社員が現場に出て、収益を上げていくということです。岡藤社長は「現場力」を最大限に引き出すことを経営哲学としています。これに対し、IT企画部では、現場力を引き出すためのIT支援として、この4月から、スマートフォンやタブレットPCといったモバイル端末に関する支援を始めています。

 具体的には、私物デバイス活用、いわゆる「BYOD(Bring your own device)」の推進です。個人で所有しているモバイル端末を使って社内システムにアクセスできる環境を整えました。現在、利用できるアプリケーションは、メールとスケジューラーと会社のファイルサーバーに保管されているファイルの利用の3つのみですが、セキュリティが確保でき次第、ワークフローやBIツールなど、利用可能範囲を広げていこうと考えています。