「高圧的・威圧的」「感情的になる・怒鳴る」……。そんな上司の存在で、貴重な心理的リソースを消耗している人は多いのではないでしょうか? しかし、「困った上司」を変えようとしても、かえって心理的リソースをすり減らすだけ。では、どうすればよいのか?この記事では、『なぜ、あなたのチームは疲れているのか?』の著者・櫻本真理さんに、「困った上司」と賢くつきあう方法について教えていただきました。

「一緒にいると疲れる上司」と賢くつきあう3つの方法Photo: Adobe Stock 写真はイメージです

部下の「心理的リソース」を消耗させる要因とは?

 心理的リソースとは、「面倒くさいけど、やるぞ!」と奮起する心のエネルギーのことです。

 意思決定、集中、我慢、成果づくり――私たちは、仕事のあらゆる場面で、この心理的リソースを使っています。そして、これは使えば減る「有限の資源」なのです。

 ここで質問です。

 部下の心理的リソースを消耗させる「最大の要因」は何でしょうか?

 ……おそらく、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、「上司の存在」ではないでしょうか?

 では、どんな上司が、部下のリソースを消耗させていると思いますか?

 働く人を対象にした複数の調査では、嫌な上司の特徴として「人によって態度を変える」「仕事を押し付ける」「機嫌で空気を支配する」「高圧的・威圧等」「感情的になる・怒鳴る」「ひいきする」といった項目が、毎回上位を占めています(*1, *2)。意外なことに「仕事ができない」は上位に入りません。

こんな上司は「心理的リソース泥棒」かもしれない

 部下が本当に消耗するのは、上司の知識やスキルが不足しているときではなく、上司との関係そのものから心のエネルギーを奪われているときなのです。

 部下のリソースを無自覚に奪う上司を、私はリーダー研修の場で「心理的リソース泥棒」と呼んでいます。具体的にはこんな行動を取ります。

・機嫌をいつも周囲に察知させる
・朝令暮改や一貫しない指示で部下を振り回す
・ネガティブな指摘だけを的確にし、肯定はしない
・「相談してね」と言いながら、相談すると不機嫌になる
・自分の不安や焦りを部下にぶつける

 もしかすると、どれも上司からすれば悪意のある行動ではないのかもしれません。だからこそ「自分が我慢すれば」「自分の捉え方が悪いのかも」と部下側が抱え込み、心理的リソースを奪われ続けるという構造ができ上がります。

なぜ、真面目な部下ほど苦しむのか?

 もちろん、上司にどういう反応をするかは、部下の特性にもよります。

 たとえば、「また、あの上司、不機嫌になってるわ……しばらく放っておこう」などと割り切ることのできる部下は、それほど心理的リソースを消耗しなかったりもします。

 問題なのは、空気が読める人、責任感が強い人、相手の感情に敏感な人――真面目で優秀な部下ほど、無自覚にリソースを差し出してしまうことです。「上司の機嫌が悪いのは私のせいかも」「もっと頑張れば認められるかも」と、原因をすべて自分に引き寄せてしまうからです。

 私は、このような部下が「心理的リソース泥棒」である上司の犠牲になるのを何度も見てきました。

 だから、そういう上司に運悪く当たったときにも、自分のリソースを守る術を身につけていただきたいと心から願っています。以下に、そのエッセンスをお伝えしてまいります。