日本たばこ産業は、1990年代後半から積極的なM&Aによるたばこ事業のグローバル化や、国内事業の多角化を推進。現在は120ヵ国以上で事業を展開している。2008年に外資系ITベンダーから同社のIT部部長に転じた引地久之氏は、就任後、ローカル契約からベンダーのグローバルアカウントへの集約、クラウド導入を積極的に進め、JTグループのIT改革のリーダーシップをとっている。
スケールメリット活かし、
グローバル契約への移行で固定費を削減
――引地さんは2008年に日本たばこ産業(以下、JT)に入社され、翌2009年からIT部部長としてグループのIT改革を進めてきました。これまでどのようなテーマに取り組んできましたか?
経営層からは、「コスト削減」と「グローバル化に向けたIT体制の整備」というテーマを与えられています。
JTでは、スイスの関係会社、Japan Tobacco International (JTI)を中心に、たばこ事業のグローバル化に取り組む一方、国内事業は食品、飲料、医薬品などの多角化を進めています。海外ではかなりシステムの統合が進んでいますが、国内では事業やグループ会社ごとの個別最適になっているので、プロセスの標準化などの全体最適化が急務です。同時にグローバル全体で固定費をいかに削減するかも重要なテーマです。
――まずは固定費削減について、どのように取り組んでいますか?
ITベンダーの集約を図ってグローバル契約にしています。国やグループ会社ごとで個別に契約していたのを一本化し、ITベンダー本社との一括契約に移行しています。
PCや複合機などの調達についても競争入札で競ってもらい、グローバル購買を行うことにしました。機器だけでなく、ヘルプデスクなどのサポートや修理、返品、配送など関係するサービスも1社に集約することで、コスト削減効果をあげています。
――グローバルアカウントでベンダーから良い条件を引き出すうえで、重要なポイントは何でしょうか?