ドナルド・トランプ米大統領の評判は多くの同盟諸国の中では悪い。貿易をはじめとする対外政策がその背景にある。だがベネズエラでは、トランプ氏は愛されている。世論調査によれば、米政府がベネズエラの抑圧的な政権に対し、ここ数週間ほど厳しい姿勢を示していることを受け、トランプ氏の人気は急上昇している。長年、米国の影響力に反感を抱いていた地域だけに、トランプ氏への高い支持率はとりわけ注目に値する。ベネズエラの反政府デモでは最近、トランプ氏のマスクをかぶった参加者が現れることが定番となっている。他のデモ参加者は、米大統領に扮(ふん)する参加者と一緒の写真を自撮りしようと行列を作るほどだ。会計士のカロリーナ・ブラーボさん(33)は「誰もがトランプ氏を批判しているが、ベネズエラに対し具体的な行動で何かしてくれるのは実際のところ彼だけだ」と指摘。「もし米大統領がバラク・オバマ氏やヒラリー・クリントン氏だったら、ニコラス・マドゥロ政権との対話の機会を模索するだけで、結局は時間を稼がせてしまうだけだっただろう。独裁者に本気で立ち向かうことは決してなかったはずだ」と話す。