水俣市は、健診の受診率が30%ぐらいで、全国平均40%台と比べてもかなり低い。健診の受診率は、地域の健康年齢と比例しているとみられることから、厚労省は受診率を60%まで増やすよう指導しており、そのための方策として、小川さんたちが協働で、この実験に取り組むことが決まった。

聴診器といえば、医師の象徴ともいえる医療器具だが、誕生以来、ほとんど変化していなかった聴診器といえば、医師のアイコンともいえる医療器具だが、誕生以来、ほとんど変化していなかった Photo:PIXTA

「ターゲットは、『自分は病気ではない』と思っており、かつ仕事が忙しく、健診のために休業するのはためらわれる、中年の方々です。こういう人たちに自宅や職場での遠隔健診を提供し、健診受診率を高めて、生活習慣病や突然死の予防につなげていきたい」

 医師の中には、診察は絶対に対面でなくてはいけないと、こだわる人も少なくない。だが、かつては病院で測るしかなかった血圧を、今は職場や家庭で、健康管理の手段として普通の人たちが当たり前のように、毎日自分で測る時代になっている。超聴診器と遠隔医療専用のビデオチャットシステムが普及すれば、従来の健診スタイルは一気に過去のものになるだろう。

 もうすぐ元号も変わる。「平成のころは、わざわざ仕事を休んで、健診を受けに行っていたらしいよ」と若い世代から驚かれる未来は、意外なほど早く、現実になるかもしれない。

◎小川晋平(おがわ・しんぺい)
AMII株式会社(熊本県)代表取締役/循環器内科医
熊本大学医学部卒。日本医師会認定産業医、日本内科学会内科認定医。
2015年11月 AMI株式会社設立。
医療コンサルティング・医療機器開発などを行う。
2015年11月 AMI株式会社設立。
医療機器開発・遠隔医療サービスを行う。
オムロンコトチャレンジ2nd、第11回KDDI∞ーラボ、第5回ヘルスケア産業づくり貢献大賞、第1回ヘルスケアベンチャーノット、第1回メドテックグランプリ、で最優秀賞。
また平成29年度と平成30年度の2年連続でNEDO-STSに採択されている。