ギラギラしたオーラがひしひしと伝わってくる。オーストラリア王者のメルボルン・ビクトリーFCの一員として日本へ凱旋し、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ第2戦でサンフレッチェ広島と対戦。鮮やかなゴールも決めて存在感を示した元日本代表MFの本田圭佑は、試合後に連発した「本田節」を介して嗅覚鋭いビジネスマン、世界へ挑み続ける先駆者、成長と夢を貪欲に追い求めるアスリートからなる3つの顔をのぞかせていた。(ノンフィクションライター 藤江直人)
現役サッカー選手であり事業家
自身のファンドは約110億円を集める
アジアで最大級となるサッカースクールを展開し、欧米やアジア、アフリカではクラブチームを実質的に運営。視線はサッカー以外にも向けられ、アメリカの人気俳優ウィル・スミスらと共同で立ち上げたベンチャーファンドは、世界中から日本円にして約110億円もの出資金を集めた。
元日本代表の本田圭佑は現役のサッカー選手にして、事業家や投資家としての顔をも持ち合わせている。他の選手たちとは明らかに一線を画す多忙な日々は、自身のオフィシャルWEBサイトで公開されている、異彩を放つ行動スケジュールからうかがい知ることができる。
例えば2017年6月13日以降のそれを見てみる。ハリルジャパンの一員として、イラク代表とのワールドカップ・アジア最終予選を中立地のイラン・テヘランで戦った本田は、経由地となるUAE(アラブ首長国連邦)のドバイで、日本へと戻るチームから単身で離脱している。
向かった先の中国・上海でサッカークリニックを開催したかと思えば、帰国後は星稜高校時代の3年間を過ごした石川県金沢市へ慌ただしく移動。金沢大学での講演を終えると、大阪と東京に滞在した4日間で実に14回ものミーティングをスタッフや事業関係者たちと開催している。
これだけでは終わらない。再びUAEへ向かって2日間をミーティングに充て、その後はアフリカ大陸のウガンダへ飛ぶ。国連財団主催のイベントや懇親会、サッカークリニック、難民キャンプ訪問と精力的に活動すると、今度はイスタンブール経由でアメリカ西海岸へ向かった。
まさにワールドワイドで目まぐるしく動き回っている中で、時間の合間を縫って自主トレを行うことも忘れない。そして、いつしか身につけたビジネスに対する鋭い嗅覚は、オーストラリア王者のメルボルン・ビクトリーFCでプレーする今も現在進行形で研ぎ澄まされている。