米ボーイングの新型旅客機「737MAX」墜落事故の調査官は、リンドン・ジョンソン大統領の時代から使われているのと似た油圧ポンプやモーターを複雑なソフトウエアが管理する、新旧技術の混合を相手に取り組んでいる。737MAXは1960年代に最初に設計された。その後3度、改良されており、代々の技術が互いに重なり合った状態だ。737MAXの失速を防止する機体自動制御システム「MCAS」のように、旧型機器のデジタル改造は増えている。暖炉を調整するスマートホーム機器から数十年来の送電網を管理するメインフレームのコンピューターまで、デジタル管理は機械のあらゆる場所で使われるようになった。ソフトウエアは誕生以降、確かにネットの仮想世界を支えてきたが、その潜在性とぜい弱性の両方をこれまで示している。デジタルセンサーの価格・サイズのいずれも大幅に下がり、データ送信能力が大幅に伸びる中で、これまで以上に多くの機器がソフトウエアを通してつながるようになった。あらゆるものがネットにつながる「IoT」が広く現実のものになる以前から、ハイテク専門家や公共安全のプロは、このバーチャルとリアルの融合点である「サイバー・フィジカル・セキュリティー」を巡り懸念を抱いている。
「賢い」技術と「愚かな」機械の合体、そのリスクは
有料会員限定
あなたにおすすめ