リクルートリクルートの総務が「エレベーター渋滞」を解消するために行った施策とは? Photo:DOL

リクルートの総務部門で、小さな「革命」が起きている。オフィス内の事務的な改善だけでなく、社内全体の不満を解消するためにデータを駆使し、仮説・検証を繰り返して、社内の効率化・合理化を徹底的に行っているのだ。今回は、その旗振り役である、リクルートの佐野敦司・総務統括室室長に話を聞いた。

「エレベーター渋滞」に
総務が本気で取り組んでみた

 高層ビルのエレベーターの待ち時間は、とかくやきもきするものだ。特に朝の出勤時間帯に、エレベーター前に長蛇の列ができていると、うんざりしてしまう。とはいえ、多くの人はこうした不満を「仕方ない」とのみ込んでしまっているに違いない。

 そんな「仕方ない」と思われがちな不満を解消したいと立ち上がった企業がある。リクルートだ。

 リクルートといえば、不満・不便・不利など、世の中の「不の解消」を社会使命として掲げている。とはいえ、「エレベーター渋滞」は誰しも感じているが、世の中全体でとらえれば、さまつなことのようにも思える。リクルートはそんな問題に、大真面目に、本気で取り組んだのだ。

リクルート佐野敦司・総務統括室室長株式会社リクルート 佐野敦司・総務統括室室長

 エレベーター問題を拾い上げたのは、リクルートの総務部門。音頭を取った佐野敦司・総務統括室室長は、「これは、総務の価値を拡大、発展、進化させるのに必要な取り組みだった」と振り返る。

 佐野室長はもともとリクルートグループの人材事業で求人広告を作る制作畑の出身。その後、希望して人事部門に移ったが、広告メディアが紙媒体からネット媒体に変化する中で、制作系の仕事が大きく変容していくのを目の当たりにし、環境変化に応じて組織が価値変容し続けることの重要さを痛感したと言う。総務を担当し始めたのは、折しも、2015年にオックスフォード大のオズボーン教授が「AIで消える職業」として事務関連の仕事を多く取り上げて話題になっている時期でもあった。

「IT化やAI化という波は総務の仕事にも確実に大きな影響を与える。そうした流れの中で、総務が価値を高め、そこで働く人が成長感、達成感を獲得し続けていくためにも、総務の変容が必要だ」と、佐野室長は思い続けていたという。