2017年に総務統括室の室長になったとき、総務の組織としての「三ヵ年計画」も打ち立てた。「不の解消」という同社の使命を総務でどう達成するべきか、「総務ってなんだろう」という立ち返りから取り組むことになったのが、「エレベーターの待ち時間の解消」だったわけである。

データから証明された
エレベーター渋滞が起こる3つの理由

 エレベーター渋滞は、リクルートが現在の東京・八重洲にあるグラントウキョウサウスタワーに移ってきたころから、社員を悩ませてきた問題だった。

 このビルの23~41階が同社専用のオフィスだが、いったん2階のメインエントランスから施設内に入り、23階フロアを経由して各階に上がる仕組みになっている。フレックス制を導入してはいるものの、そうした仕組みのために多くの人が出社する10時前後には、23階で大混雑が起きてしまう。エレベーターが混んでいるせいで会議や打ち合わせに遅れてしまうとしたら、会社にとっても大きな損失だ。

 そこで佐野室長は混雑が起きる原因について、

(1)同じ時間帯に出社する人数が多すぎる
(2)(特に朝の出勤時間帯は)各階に停車するのでエレベーターの往復に時間がかかる
(3)まだ満員ではないエレベーターに乗らない人が多い(自分が乗り込んだ時に満員のブザーが鳴るのが嫌で詰めて乗らない)

 という3つの仮説を立てた。

 まず、その仮説をデータで検証することにした。(1)の人数は2階で入館証をタッチした人のデータで、(2)はエレベーターの稼働ログ、(3)はエレベーターで最大積載量の70%以上で発車している延べ台数のデータから算出できた。いずれのデータからも、3つの仮説が正しいことが証明された。

 ただ、それが正しいとわかっただけでは、混雑の解消にはつながらない。そこで、原因がはっきりした3つの事象について、早速対策を行うことにした。

 原因(1)の出社時間が集中する問題については、分散出社を常々働きかけていたもののなかなか広がらなかったこともあり、実現は難しいと判断。そこで、原因(2)と(3)を解消することで、混雑の緩和を目指そうと、フィジビリ(リクルート用語で、「とりあえずやってみる実験」のこと)を行うことに決めた。