シリア東部で過激派組織「イスラム国(IS)」がかつて拠点としていた地域では、イランが軍事力と経済力を駆使して永続的な足場を築こうとしている。イランは8年に及ぶシリア内戦で、軍事介入によりバッシャール・アサド大統領を勝利目前まで導いた。その後、イランは友好ムードを醸成し、シーア派への改宗を促進することでシリア国内での長期的影響力を確保しようとしている。イランは戦争で疲弊したシリア国民に現金や食料、イランのIDカード、公共サービス、無償の教育を提供している。「目標はペルシャ帝国の再現だ」。ISが首都と称していたラッカの市議会議員ムネール・アル・カリフ氏は語る。人心を掌握しようとするイランの動きは、同国の影響力を抑え、シリアからイラン勢力を排除しようとする米国、イスラエル、アラブ諸国の取り組みを阻害している。ドナルド・トランプ米大統領はISの支配を一掃する戦いの終結を宣言し、2000人超の規模で展開するシリア駐留米軍の縮小を計画している。イランの戦略はこうした状況下で進行しているのだ。
イランがシリアで狙うのは「帝国の再現」か
内戦で疲弊したシリア国民に対し、イランは現金や食料、公共サービスを提供している
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