ベンチャー相手のM&Aで不可欠な人物調査
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ビジネスの現場では、さまざまな問題が発生する。横領や商品の横流し、情報漏えい、採用時の経歴詐称など、じつに多種多様だ。創業1965年、年間7000件の調査を行う総合調査会社「トクチョー」が、日々の調査業務で遭遇するビジネスの現場における事件とその教訓を紹介する。題して「調査員は見た!不正の現場」。今回は、ベンチャー企業の買収・事業提携に伴う調査にまつわる事件だ。

ベンチャー企業相手の
M&Aで不可欠なもの

 ベンチャー企業と取引する上で、把握しておくべき重要な情報は何でしょうか。一般的な取引においても調べる財務・資産状況、主要取引先、反社会的勢力との関係などは当然として、ベンチャー企業の場合は経営者の人物像、株主構成、事業コンセプト、保有する知的財産などは、特に重要な調査事項となります。

 さらに、単なる取引ではなく、「買収」や「事業提携」といった深い関係を築いていく場合に最も重要となるのは、「キーパーソンは誰で、どのような人物か」を把握することです。

 というのも、一般的な企業においては、ある重要なポジションの人材がいなくなっても、それだけで事業が行き詰まってしまうことは多くありません。しかし、ベンチャー企業の場合、キーパーソン1人のスキルや経験によって事業が支えられていることも珍しくないからです。

 そこで今回は、2つのケースを紹介します。