ビジネスの現場では、さまざまな問題が発生する。横領や商品の横流し、情報漏えい、採用時の経歴詐称など、じつに多種多様だ。創業53年、年間7000件の調査を行う総合調査会社「トクチョー」が、日々の調査業務で遭遇するビジネスの現場における事件とその教訓を紹介する。題して「調査員は見た!不正の現場」。5回目の今回は、セクハラ調査から社内のダブル不倫が見つかった事例だ。
役員秘書室に異動した20代の女性が
2ヵ月もたたないうちに退職
外食業界で、非上場ながら従業員1000人を超える業界大手のA社から「すぐに来てほしい」と連絡があったのは、数年前の梅雨入り間もないころのことです。その年の4月に新任の管理部長となったB部長からのお話は、内部通報で判明した社内のセクハラ疑惑に関するものでした。
B部長 「雨の中、急にお呼び立てして申し訳ありません。お恥ずかしい話なのですが、社内のセクハラ疑惑の調査をお願いしたくてご連絡したのです。まずはこれを見てください」
B部長は、そう言ってこの数ヵ月の出来事を時系列に沿って、分かりやすく話してくれました。
要約すると、4月にB部長が転職で入社してきたタイミングで役員秘書室に異動となった20代女性のCさんが、5月のゴールデンウィーク明けから体調不良で休みがちになりました。