ユリ・ゲラー氏の「超能力で英EU離脱阻止」宣言が報道された真の意義
ユリ・ゲラー氏が「超能力で英EU離脱を阻止する」と宣言したことを日本の報道番組が報じ、物議を醸している。日本で「風刺」という報道手法はどう捉えられているのか 写真:ユニフォトプレス

英EU離脱問題に関する
ユリ・ゲラー氏報道の波紋

 ジャーナリストの江川紹子さんが、テレビ朝日『報道ステーション』の報道姿勢に疑問を投げかけています。ご本人のツイッターで「英国のEU離脱問題で、ユリ・ゲラーを持ち出す報道ステーションは、報道番組と名乗るのはやめるべし」と番組批判をしているのです。

 この問題は、平成生まれの若い読者の方にはきちんと背景を説明しておいたほうがいいかもしれません。1990年代にオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件などの一連のテロに、江川紹子さんは巻き込まれた当事者なのです。

 当時、オウム真理教を激しく批判していた江川紹子さんは、自宅に毒ガスのホスゲンガスを撒かれました。本当に命を落としかねない状況だったのです。

 オウム真理教が大きくなっていった背景には、視聴者に人気のある超能力を標榜していたことなどから視聴率がとれたため、テレビ局各社がオウムの幹部を競って番組に招いてきたことがありました。一連の事件がオウム真理教のテロだと判明して以降、各メディアは大いに反省をし、超能力や新興宗教を取り扱うときは深い注意を払うようになりました。

 こうした背景を知っていると、江川紹子さんが『報道ステーション』に疑問を感じるのは理解できますし、江川さんの批判を報じることには「オウム事件を風化させない」という意義があります。ここまでは良いことだと思います。

 一方でユリ・ゲラー氏のニュースは、日本ではテレビ朝日以外に時事通信や産経新聞も、英国ではBBCやガーディアン紙も扱っています。ユリ・ゲラーが超能力を使ってメイ首相にEU離脱を諦めさせようとしているというニュースを、複数の一流報道機関が報じているわけです。

 こうした報道がなされる理由は、「ユリ・ゲラー氏について報道する意義がある」と思われているからです。今回はその意義について、触れてみたいと思います。