ビットコインと天然ガス?スティーブン・バーバー氏(写真)は昨年、ビットコインのマイニング向けに幅約6メートルのコンテナを設置し、天然ガスを燃料とする発電設備を併設した Photo:Amber Bracken/The Wall Street Journal

 カナダの片田舎にある油田で、貨物コンテナが想像もつかないような副産物を生み出している。仮想通貨ビットコインだ。

 コンテナの中では、人間の目による監視がほぼない環境下で、高性能のコンピューターが新たなビットコインを創造している。必要なのは大量の電力だけだ。

 需要と供給が完璧にマッチしたかのように、このビットコインに電力を提供するのは行き場を失った天然ガスだ。

 天然ガス価格は過去数年に大きく落ち込んだ。あまりの供給過剰で、一部の北米生産業者はガスを燃やすか、お金を支払って誰かに引き取ってもらうしかない状況だ。テキサス州では、天然ガス価格が初めて、ゼロを割り込むところも出ている。こうした中、天然ガスを生産現場で利用できる有効な方法を模索する企業が増えている。

 人口約600人のカナダ・アルバータ州マーウェイン。近くにあるブラック・パール・リソーシズ所有の油井の隣に、そのコンテナはあった。ブラック・パールは足元、原油価格の水準には満足している。だが、原油を採掘するほど、天然ガスも地上に引き出すことになり、これが問題を招いている。

 これだけ辺境な地にあると、別の場所に移動させて販売することは経済的に理にかなわない。かといって、破棄する訳にもいかない。アルバータ州などの地方政府は、生産業者が天然ガスを燃やす、または空気中に排出できる量に上限を定めている。上限に達すると、生産業者は天然ガスが貯まるのを回避するため、油井の閉鎖に追い込まれる恐れがある。

 こうした状況を受けて、ある石油業界出身者はビットコイン起業家に転身した。スティーブン・バーバー氏は昨年、ビットコインのマイニング(採掘)向けに幅およそ6メートルのコンテナを設置し、天然ガスを燃料とする発電設備を併設。石油会社のコスト削減を手助けするコンサルタントを務める。

 バーバー氏はエネルギーが浪費されていること自体は知っていたが、「ビットコインのマイニングと、ネットを通じてエネルギーを金に換えられることを目にして、信じられないと思った」と話す。バーバー氏は数年前まで、石油会社で機械エンジニアとして働いていた。