日本語学校が企業に学生を“斡旋”

日本語学校と留学生と地方企業が「負の連鎖」に陥るケースが少なくない
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 日本語学校と地元企業とアジア人留学生が、なんとも危ない経済構造を作り上げている。日本語学校は留学生にアルバイトを斡旋し、地元企業は喜んで雇用する。一見すれば“三方ヨシ”だが、これほど危険な“均衡”はない。

 ここで取り上げるある地方都市の日本語学校(以下、X校)は、「職業紹介所」と呼んだほうがその実態に合っているかもしれない。これだけアジアからの人材に依存をしている日本で、X校のような日本語学校は一つや二つではないだろう。X校で教員をしていたという田中勇さん(仮名)が赤裸々に語った。

 日本語学校には、たいてい留学生にアルバイトを斡旋する専門の課がある。X校で日本語教師を務め、半年ほどがたったある日、田中さんは同課の職員から「学生のアルバイト先と内容を把握しておいてください」と「アルバイト先リスト」を渡された。その表には担当するクラスの留学生の氏名、学籍番号、電話番号、就業場所の情報が克明に書かれていた。学生がアルバイトをいくつ掛け持ちしているかも一目瞭然だ。

 学生のアルバイト先は、食品や食肉工場、物流センター、クリーニング工場、ホテル、飲食店など広範囲に及んでいる。腰を痛めるホテルのベッドメイキングは労働の担い手がおらず、もはや外国人の労働者なしには立ち行かない産業となった。ホテルのシーツや寝具、タオルなどのリネンの洗濯を請け負う大型クリーニング工場でも、仕事の担い手は外国人だ。運送業の倉庫での仕分け作業も、外国人の働き手を欲しがる。荷物のタグは数字化されているので、漢字を知らない彼らでも対応できるしくみが出来上がっている。

 そんな企業群に、学校が組織的に留学生を送り込んでいるのは、疑う余地もなかった。