在日中国人が通う中華料理店は日本人とは違う
在日中国人が通う中華料理店は日本人通う有名店とは違うことが多い(写真はイメージです)

東京の新宿や池袋はディープな中華街だ。「本場の味」を追い求めて通う日本人も多いが、私はあるときから「在日中国人が行く中華料理店と、日本人が通う中華料理店はかなり違うのではないか?」と感じるようになった。「そんなこと、当たり前じゃない?」と思う人もいるかもしれないが、なぜ、どこから、そのような違いが出てくるのか考えてみた。(ジャーナリスト 中島 恵)

とても有名な店が
中国人のグルメ女性からは酷評

 ある日、中国に赴任する日本人の友人の送別会に参加した。北池袋の怪しげな通りにある中華料理店に友人が10人ほど集まったのだが、そのうちの1人は参加者(共通の友人)の妻で、この日初めての参加。唯一の中国人だった。少し遅れてきたその女性は席に着くなり、先に隣に座っていた日本人の夫に小声でこういった。

「このお店、あまりおいしくないよ。なんでこの店に決めたのかな?池袋だったら、私、もっとおいしいお店をたくさん知っていたのに……」

 他の友人には聞こえなかったと思うが、反対側の隣に座っていた私はびっくり。なぜなら、その店は、日本人の中国関係者の間ではかなり有名な中華料理店で、昔から「おいしい」と評判だったからだ。

 私自身も10回以上、来店したことがある。店内は日本人客と中国人客が半々。中華風の赤い装飾で、店員もコックも中国人だ。その店にわざわざ通う日本人も、おそらくある程度「自分はちょっとした中国(料理)通」だと思っているのではないか……。だからこそ、この発言に私は驚かされた。

 私はその友人の妻と面識があった。彼女は日本に住んで10年以上で、かなりのグルメだ。そこで「えっ、そうなの?池袋で他におススメの中華料理店があったら教えて」と聞いてみたところ3つほど教えてくれたのだが、それらはいずれも私が一度も名前すら聞いたことのない店だった。