新元号は「令和」に決まりましたが、早くも異論・反論が続出しています。
「命令」の「令」は最悪、戦時中の「召集令」や「動員令」を連想されかねない。今の日本を取り巻く環境を考えると、この文字を元号に使うリスクは大きい Photo:AP/AFLO

新元号「令和」が発表され、お祝いムードに沸く中、海外メディアからは「日本の右傾化を表している」と言われ、国内からも「命令に従って和めという安倍独裁だ」との声が上がっている。新元号にはそのような意図はないのかもしれない。しかし、「命令」「司令」の「令」の字を使うことがどのような連想を生むのかを、日本政府は事前に想像できていただろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

海外メディア、反安倍…
「令和」にイチャモンをつける人々

 新元号で日本中がお祝いムード一色のなか、そこに水を差すようなイチャモンをつけてくる人たちが次々と現れている。

 まず、ケチをつけたのは一部の海外メディアだ。「中国の書ではなく、日本の書を使うという判断は、日本が右傾化しているからだ」と言い出したかと思えば、お隣・中国からも、「中国人には”平和がゼロ”に聞こえる。縁起が悪すぎる」なんて、これまたネト…ではなく愛国心溢れる方たちが発狂しそうな批判を展開した。

 ただ、これくらいなら、「日本は日本!よその国が口出すな!」で済まされるが、問題は新元号発表から日が経つにつれ、国内でもイチャモンが増えてきていることだ。

 世の中で起きていることのほぼ9割くらいは安倍首相が悪いからだと考える、いわゆる「反安倍」の方たちからは、「命令に従って和めということで、安倍政権の独裁が始まった証拠だ」なんて声が上がっており、また一つ、批判の材料が増えた感じである。

 という話を聞くと、「国が決めたことがそんなに気に食わないなら、今すぐに日本から出ていけ!」「天皇に対しても失礼!時代が時代なら不敬罪だ!」と怒りのあまり、今すぐこういう人たちの横っ面を張り倒したくなる、という方もいるだろう。「こういう低脳左翼がいるから、いつまでたっても日本は新しい時代になれないのだ」と、さらに激しい反安倍への憎悪が芽生えた、という方も少なくないかもしれない。

 個人的には元号にそこまで強い思い入れもないし、「令和」と決まったのならばゴチャゴチャ言わず、黙って受け入れればいいのではと思う。「令和」でも「万和」でも「英弘」でも、我々庶民の生活は何も変わらない。こんなことで騒ぐより、もっと国民的議論をしなくていけないテーマは山ほどあるはずだ。

 ただ、その一方で、「危機管理」ということを生業としている者からすると、今回の新元号イチャモン騒動はかなり興味深い。日本政府の危機管理における致命的な問題点をあぶり出している可能性があるからだ。

 それは一言で言うと、「想像力の欠如」である。