見切り販売の質問には答えず退室

 実際に見切り販売をしている吉村氏によると、商品の種類や値下げを始める時間帯などを分析したうえで行わないと効果は出ないといい、「見切り販売のテクニックがない本部社員の指示で店のシャッターを閉めるだけでは、(廃棄の発生によって)赤字になるのは当たり前だ」と話す。

 この指摘について、井阪社長は会見後の囲み取材で、「そんなことはないですよ。ないと言えます」と強く否定。「商品の鮮度を延長する……」などと語り始めた時点で、広報担当者が「時間ですので申し訳ございませーん」と割りこみ、井阪氏を体ごと抱えて退室させてしまったので、詳細は不明だ。

 そもそもSEJの実験について、オーナーの反応は冷ややかだ。ユニオンの執行委員長で、ファミリーマートの現役オーナーである酒井孝典氏は、「今は世論に動かされて、実験を形だけやっているようにしか見えない。ほとぼりが冷めたら『深夜閉店は失敗だった』と言って終わるのではないか」との見方を3月の段階で示していた。そして、実験の最中であるにもかかわらず、新社長が4日の就任会見で予定調和の結論を暴露してしまった。

 社長交代会見という重要な場を“スルー”した古屋氏は、SEJ社長から代表権のない会長となる。もともと古屋氏は、日本のコンビニの“生みの親”と称されるセブン&アイ・HD名誉顧問、鈴木敏文氏の薫陶を受けており、“ミニ敏文(ビンブン)”とも呼ばれていた。自身の社長就任後も、鈴木氏にならって上意下達を徹底した経営方針を貫いたが、その結果、「鈴木氏時代の成功体験に強く囚われた古屋氏の下で、SEJは時代の変化に合わせた改革が遅れた」(あるコンビニ大手幹部)と言われている。

 今回、中核子会社のSEJ社長の首をすげ替えたのは、鈴木氏時代の旧弊を取り払うためだというトーンを会見中ににじませた井阪氏と永松氏。店舗規模拡大のスピード鈍化や、既存店への設備投資の増加などといったオーナー重視への方針転換をそろって強調した。

 だが、社会の大きな注目を集めている24時間営業については、「むしろ死守したいという本音が強固に感じられる」(あるセブンの現役オーナー)。一体、何のための社長交代なのだろうか。

訂正
記事初出時の記述に誤りがありましたので訂正させていただきます。以下2点、初出時→訂正後の記述となります。1)第7段落:本部の直営店で深夜閉店の影響を調べる実験中→一部店舗で深夜閉店の影響を調べる実験中 2)第11段落:いずれフランチャイズ加盟店でも行うとしているこの実験→いずれにせよこの実験
2019年4月8日 13:00 ダイヤモンド編集部