セブン-イレブン・ジャパンの時短営業実験に注目が集まっている。確かに実証実験をする企業姿勢は真っ当だが、コンビニオーナーの疲弊ぶりの原因をよく考えてみると、肝心のポイントに関する考察が抜けていないか?これではまるで、NGT48の“お手盛り”記者会見にも似た構図である。(ノンフィクションライター 窪田順生)
セブンとNGT48に
共通するモヤモヤとは…?
セブン-イレブンが「時短」の実証実験をしている。全国で10の直営店で営業時間を短縮して、店舗の収益、物流への影響、さらに閉店と開店にともなう従業員の作業負荷などを検証するというのだ。
労働力が確保できないので深夜は閉めたいと訴えているのはFCオーナーなのだから、直営店などでやっても意味がない、という指摘もあるが、そこは天下のセブン-イレブンだ。現在、80店舗ほどから短縮営業の希望が出ているということで、こちらのオーナーを対象としての「時短実験」も検討していくという。
オーナー側から出ている訴えに、あれほどの大企業が真摯に対応をするというのは素晴らしいことだと思うし、これでコンビニの過酷な労働環境が少しでも改善されるのなら、喜ばしい限りである。
ただ、一方でこのニュースを聞いてから、どうにもスッキリしないというか、モヤモヤしたものをずっと引きずっていた。一体なんだろうかと思っていたのだが先日、NGT48の山口真帆さんの暴行事件を受けて、運営会社が催した記者会見を見ていて、その正体が何かようやくわかった。
「お手盛り感」である。
ご存じのように、この記者会見では、被害者の山口真帆さんが会見中にTwitterで「嘘ばかり」と「生反論」をしたことが非常に注目を集めた。
そこで浮かび上がったのが、「お手盛り」ではないかという疑惑である。山口さんによると、自分への聞き取りが第三者委員会の調査報告書には反映されていないという。要は、はじめから「結論ありきの調査報告書」だったのではないかというのである。
この「お手盛り疑惑」にさらに拍車をかけたのが、第三者委員会の調査報告書を、運営会社が説明する、という対応である。
企業危機管理の世界では、第三者委員会の調査報告書の説明は、第三者委員会の人間が行うというのが常識だ。まず第三者委員会が調査報告書についての会見を開く。それを受けて、企業側がその調査報告書をどう受けとめているのか、そして、どうやってこの問題に対応をするのか、会見で明らかにするーーというのが、一般的な流れである。
なぜそんな面倒臭いプロセスを踏まなくてはいけないのか。調査はもちろんのこと、その報告会見でも、対象企業は一切関与しない。そこまで独立性を持たせるからこそ、「第三者委員会」を設置する意味があるのだ。