目頭を押さえる女性Photo:PIXTA

最近、鍼灸(しんきゅう)が熱い。昨年は講談社の漫画週刊誌「モーニング」に鍼灸師の資格を持つ漫画家による鍼灸漫画(!)「素直なカラダ」が登場。その後も次々に大手メディアが鍼灸を特集している。それだけ西洋医学一辺倒の現代医療に限界を感じている人が多いのかもしれない。4月9日の「鍼灸の日」に鍼灸の可能性を探ってみた。(医学ライター 井手ゆきえ)

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 鍼灸と聞くと肩こりや腰痛、事故などの後遺症に特化したものと思いがちだが、実はさまざまな疾患、症候群、不定愁訴に対して効果が認められ、無作為化比較試験(RCT)によるエビデンス(科学的根拠)の積み上げが進んでいる。

 各国の研究を総合すると、鍼灸は自律神経系、内分泌系、免疫系などに作用し、筋緊張の緩和、血液およびリンパ液循環の改善効果が認められている。また疼痛(痛み)に対する治療では、鍼刺激によりエンドルフィン(脳内モルヒネ)の遊離を促し、痛みを抑制する、痛みの感覚を遮断するなどの作用が報告されており、がん治療中の痛みや副作用の軽減にも利用され始めている。