日本では依然として元本確保型商品が中心

 では、この法改正で導入された「指定運用方法」は、2017年度末時点でどのくらい普及しているのでしょうか? まず「指定運用方法」を設定している企業は約3割です。そのうち、約3割が「指定運用方法」を投資信託にしています(残りの7割は「指定運用方法」として元本確保型商品を設定)。つまり、DC実施企業の1割くらいしか、アメリカのような形で加入者に投資信託で運用させるような仕組みを導入していないのです。

 このような話をすると、「指定運用方法を設定していない7割の企業ではちゃんと運用されているのではないか?」と思う方もいらっしゃると思います。このような企業では、加入者が運用商品を選ぶまで人事部等がプレッシャーをかけ続けることになるのですが、考えてみてください。そのようなプレッシャーがかかる中、資産運用の知識のない人が何を選ぶか…と。とりあえず、元本割れのない預金や保険商品を選ぶ人がほとんどでしょう。つまり、資産運用に関心のない人で資産運用している人は、ほんの一部ということになります。これでは運用格差は広がるばかりです。

 確定拠出年金法の改正案を議論しているときには、アメリカと同じように「デフォルト商品」として投資信託が導入される機運があったのですが、結果的にそれは実現せず、今の状態に至っています。今後、法改正がいつ実施されるのかは定かではありませんが、次の改正では運用格差を是正するために、再度、アメリカ流の「デフォルト商品」について議論していただきたいものです。

 以上、DCの現状についてまとめてみましたが、結論としては、日本のDCは自助努力が求められる年金制度なので、自分のやる気がないとどうにもならないということです。一方、それをサポートする投資教育が企業だけに依存しているのは、心もとないと言わざるを得ません。社会人になる前に、義務教育や高校・大学などの高等教育でしっかりと投資・金融知識を叩き込むことが必要なのだと思います。これを実施するには、省庁の壁を越えた連携が必要なため実現は難しいかもしれませんが、国民の老後の生活を守るためにも、本格的に取り組んでもらいたいものですね。

今回の川柳
さまざまな 仕組みでなくそう 運用格差

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。