高齢化する金融資産
日本の高齢化は着々と進んでいる。特に年代別で見た人口の大きなグループである、いわゆる「団塊の世代」(1947〜1949年生まれ)が現在70代に突入しており、2025年には、この世代が全て後期高齢者となり、後期高齢者が人口の18%を占めることになる。
後期高齢者が増えることによって、資産の高齢者への偏在がますます進むと予想され、野村総合研究所の推計(東山真隆「2025年に向けて重要性を増す『団塊の世代』の資産運用動向」、Financial Technology Focus 2019年2月)によると、2030年には個人金融資産のうち最大46%が75歳以上の保有となる見込みだという。
野村総研のアンケート調査(同前)によると、加齢と共に投資の継続意向が顕著に低下する傾向があり、社会全体として金融資産が投資のリスクを取らなくなることが懸念されている。
また、2030年には高齢の認知症患者の数が730万人に達し、その保有資産額が約215兆円に達するという試算もある(ジェロントロジー研究協議会事務局の推計)。認知症患者の金融資産をどう運用・管理するのかも大きな問題だ。