特に、2006年、錦湖グループが大宇建設を買収したことは、韓国経済界でも論争を呼んだ。どちらかといえば、大宇建設の企業価値を大きく上回る買収金額、買収のための借り入れ増加が錦湖グループの経営を悪化させるとの見方が多かった。

 そこまでのリスクを冒してまで、同グループを率いる朴三求(パク・サムグ)会長は、財閥全体への統帥権を確立したかったわけだ。同グループ傘下の企業は、朴兄弟によって経営が指揮されてきた。兄弟とはいえ、常に利害が一致しているわけではない。朴三求会長は大宇建設買収を強行して拡大路線を進めることによって、弟の朴賛求(パク・チャング)氏の影響力を弱めたかった。

 兄弟同士の覇権争いが、身の丈を超えた買収の正当化につながり、同グループの経営を悪化させた。2009年、錦湖グループは資金難に直面し、大宇建設の経営権を手放さざるを得ない状況に直面した。それ以降、同グループは資産の売却を進め、当座の資金繰りを確保せざるを得ない状況に陥ってきた。資産売却によっても同グループの財務状態は悪化し続けた。最終的にはグループの収益の柱であるアシアナ航空を売却しなければならなくなってしまった。これは、リストラを続けると最終的に企業そのものがなくなることを確認する良い例だ。

環境変化に
対応できなかった同族経営

 韓国財閥企業は、世界経済の環境変化に適応することができなくなっている。それは、財閥企業の成長に依存してきた韓国経済にとって、深刻な問題だ。

 まず、アシアナ航空の業績悪化の背景には、韓国経済の減速が大きく影響している。大手航空会社の経営状態は、その国の経済状況を的確に表すことが多い。景気が良ければ、観光やビジネスでエアラインを使う人は増える。それが航空会社の業績拡大を支える。反対に、景気が減速すると観光などのためにエアラインを使う人は減少する。