団地
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戦後の公共住宅の原型
「食寝分離」を実現させた「51C」の理念

『団地と移民』書影
『団地と移民』 安田浩一著 KADOKAWA刊 1728円(税込)

 戦後日本における画期的な発明といえば?

 人によって答えはさまざまだろうが、個人的には「51C」を挙げたい。

「51C」とは、1951年度に計画された公営住宅標準設計C型の通称である。焼け野原からの復興の過程で、不足していた住宅供給をどうするかが国の喫緊の課題だった。そんな中、35平米というコンパクトな空間で、食べる場所と寝る場所を分ける「食寝分離」を実現させた「51C」の理念は、その後設立された日本住宅公団にも引き継がれ、公共住宅の原型となっていく。間取りを考える際に私たちが当たり前のように思い浮かべる「nLDK」は、ここから発展したものだ。「51C」は、現代日本人の住まい方のルーツでもある。

 かつては狭い部屋で家族全員が寝食をともにするのが普通だったから、「51C」の理念に基づいて設計された公共住宅は、当時の人々には輝いて見えたに違いない。事実、1960年には完成してまもないひばりヶ丘団地を、皇太子ご夫妻が訪問されている。団地暮らしは新しいライフスタイルだったのだ。