中国人の住民が半数以上を占め、かつては「チャイナ団地」と揶揄された埼玉県川口市のUR川口芝園団地。中国人住民が増え始めた当初はさまざまなトラブルも目立ったが、現在は外国人住民との「共生」に成功している。しかし、外国人住民との共生は微妙な均衡で成り立つものであり、容易なものではない。(取材・写真・文/室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
外国人材受け入れと称し
「移民政策ではない」と否定しているが…
政府は、「骨太の方針2018」で、「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とする新たな在留資格を創設することとし、外国人材の受入れを更に進めていくこと」とし、数十万人規模で単純労働分野での外国人労働者の受け入れを進めていくとした。
これを受けて、7月24日、政府は「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」を閣議決定し、関係府省が連携して受け入れ環境を整備していくとしている。
政府はこうした一連の政策を「外国人材受入れ」と称し、「外国人材受入れ」は「移民政策ではない」と否定しているが、こちらの都合で日本に呼んできて、用が済んだら帰ってくれるというものでもない。そもそも生産性向上の美名のもとでコストすなわち人件費の削減(もっと言えば生産性向上や成長率といった目先の数字作り)のために呼んできているというのが本音なのだから、これを継続させるためには、あれこれと口実を作って居させ続けなければならないことになる(実際関連する政府の公文書の中にはしっかりと「抜け道」が書かれている。この段階で既に「抜け道」というより「バイパス」と呼んだ方がいいかもしれない)。
そもそも、彼らは外国人材という名の労働者であると同時に、日本に暮らす生活者でもある。つまり、居住期間は数年なのかそれとも10年以上なのか、半永久的なのか、それぞれではあるが、生活の本拠を日本に置くわけだから、紛れもなく移民である。これが数十万人単位で日本に入ってきたらどうなるか、想像を絶するものがあろう。