首藤淳哉
「子どもたちにこそ読んでほしい。分厚い本書を読むのは、グレートジャーニーに匹敵するだろう。長い旅を終えた時、きっと世界の見え方が変わる」スゴい本とは?
発売たちまち重版続々のベストセラー!! ウォール・ストリート・ジャーナル、ガーディアン、サンデータイムズ、各紙絶賛! 生き物たちは、驚くほど人間に似ている。ネズミは水に濡れた仲間を助けるために出かけるし、アリは女王のためには自爆をいとわない。カケスは雛を育てるために集団で保育園を運営し、ゾウは亡くなった家族の死を悼む。あまりよくない面でいえば、バッタは危機的な飢餓状況になると仲間に襲いかかり、動物園の器具を壊したゴリラは怒られるのが嫌で犯人は同居している猫だと示す…といったように、どこか私たちの姿をみているようだ。シドニー大学の「動物行動学」の教授でアフリカから南極まで世界中を旅する著者が、好奇心旺盛な視点とユーモアで、動物たちのさまざまな生態とその背景にある「社会性」に迫りながら、彼らの知られざる行動、自然の偉大な驚異の数々を紹介。「オキアミからチンパンジーまで動物たちの多彩で不思議な社会から人間社会の本質を照射する。はっとする発見が随所にある」山極壽一(霊長類学者・人類学者)、「アリ、ミツバチ、ゴキブリ(!)から鳥、哺乳類まで、生き物の社会性が活き活きと語られてめちゃくちゃ面白い。……が、人間社会も同じだと気づいてちょっと怖くなる」橘玲(作家)と絶賛されたその内容の一部を紹介します。

「性転師」とは、性別適合手術を受けるために海外に渡航する人を手助けする「アテンド業」に携わる人々を指す。もちろん正式な職業名ではない。本書『性転師 「性転換ビジネス」に従事する日本人たち』の造語である。

この2カ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞、ネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。そこには見慣れたリーダーの姿があった。

本書はあの!月刊『ムー』のビジュアル&アート集である。説明するまでもないが、『ムー』は昨年創刊40周年を迎えた日本屈指のミステリーマガジン。本書では1979年の創刊から2019年12月号までの表紙が一望のもとに並べられ、「ムー文化人」たちの愛情あふれるコメントが紙面を飾っている。なんてナイスな企画なんだ。素晴らしすぎる!

いまや「ソーシャル・ディスタンス」という言葉を聞かない日はない。「社会的距離」などと直訳されるけれど、ちょっと芸がないなぁと思う。だって日本語にはもともと「間合い」という言葉があるからだ。

本書『孤塁』は、双葉郡の消防士たちが初めて「あの日」について語ったノンフィクションである。震災について書かれた多くのノンフィクションの中でも出色の一冊だ。

ローマ法王が38年ぶりに来日する。滞在中は広島と長崎の訪問や、東日本大震災の被災者との面会などが予定されている。前回ヨハネ・パウロ2世が来日した時は、初めてローマ法王が日本を訪れたとあって、各地で熱狂的に迎えられた。今回はどうなるだろう。

「日本代表なのになんで外国人ばっかりなの?」「日本人じゃないのって、なんか違和感がある」「日本は強豪国じゃないから、助っ人外国人に頼るの?」今回あちこちでこのような素朴な疑問の声を耳にした。たしかに他のスポーツの代表チームに比べると、ラグビーは特殊に見えるかもしれない。しかも外国人選手は決して「助っ人」ではない。彼らはれっきとした日本代表の一員である。

女の子が現実とは違うビジュアルへと自分を加工する技術。これを「盛り」という。スマホなどで写真を加工することはいまや珍しくないが、ここでいう「盛り」はもっと奥が深いものだ。デジタルの加工技術だけでなく、メイク道具を駆使してビジュアルを手作りすることも含まれる。日本の女の子たちはみな流行の装いをして、一見そっくりに見える。だが彼女たちにおしゃれを頑張る理由をきくと、意外にも「自分らしくあるため」と答える。一見「均一」にみえる彼女たちが「個性」を口にするのはなぜか。

『団地と移民』は、長年にわたり排外主義の問題を追いかけてきた著者が、日本各地やパリ郊外の団地の最前線で起きていることをルポした一冊だ。かつては「夢と希望の地」だった団地がここまで様変わりしているとは、正直この本を読むまで想像していなかった。

世の中にはうまく言葉を発することができない人がいる。耳は聞こえ、声を出すこともできるのに、言葉が詰まってしまい、なめらかにつなげていくことができない人々のことである。「吃音」と呼ばれる症状だ。吃音を発症するのは、幼少期の子どもの約5%、およそ20人に1人と言われる。このうち8割くらいは成長とともに自然に消えるが、それ以外は大人になっても残る。日本では100万人ほどが吃音の問題を抱えているとみられる。

「企業墓」とはいったいなんだろうか。なぜ企業は墓をつくるのか。ありがちな説明としては、古くからの家父長制が会社形式になっても残り、企業がひとつの家のように進化した、といったストーリーが成り立ちそうだが、著者はこうした見立てを否定する。

地方自治や行政学を専門とする研究者が、新宿区で9ヵ月にわたって清掃員としてごみ収集の現場を体験した記録だ。なにしろ新宿区は、歌舞伎町や新宿二丁目、荒木町といった個性あふれる歓楽街や飲食街を抱えている。それに文化や生活習慣が異なる外国人も多い。そんな新宿区でごみ収集とは、聞いただけで大変そうである。

1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルクを出発した。事件は出発から10日後の2月1日に起きた。わかっているのは、何らかの理由でメンバー全員がテントを飛び出し、マイナス30度の闇の中に散り散りに逃げた。後に9名の遺体が発見されたのは、テントから1キロ半ほども離れた場所だった。

第107回
世の中から消えていった“一発屋芸人”たちがその後の人生をどう送っているのか、自らも「一発屋」を名乘る著者・山田ルイ53世が追跡取材したのが本書である。

第103回
大谷翔平選手のプレーは素晴らしい。誰よりも速い球を投げ、誰よりも遠くにボールを飛ばしたいという野球少年の理想を、そのまま体現したかのような選手である。もちろんその素晴らしいプレーの数々は、あの恵まれた体躯から生み出されたものに違いない。だが果たしてそれだけだろうか――。

第89回
昨年の九州場所を前に発覚した暴行事件以来、相撲界が揺れに揺れている。だが一連の騒動以来、黙して語ることがない。その結果というべきか、いま白鵬は猛烈なバッシングにさらされている。そんな現状に一石を投じたのが本書である。

第83回
「エコノミスト」誌でエディターを務める著者は、ラテンアメリカで麻薬関連の取材をするうちに、麻薬ビジネスのあり方がグローバル企業のそれと酷似していることに気づく。取材で得た成果を最新の学説と結びつけながら、麻薬ビジネスを経済学的に分析したのが本書である。

第79回
選挙戦がスタートして、いっせいにメディアが主要候補の報道へと雪崩を打っても、実は選挙戦で何が起きているかはよくわからない。泡沫候補たちの現場に立ち会えば、選挙戦の内情が見えてくるだろう。

第72回
チキン砲、悪臭爆弾、スナイパーを襲う下痢、ウジ虫を用いた傷治療……等々、一見くだらないと思われるようなテーマでも、研究者たちがクソ真面目に実験に格闘する。その研究の悪戦苦闘ぶりに思わず笑ってしまうだろう。
