中国の大手商業銀行は、当局の管理が及ばないところで資金調達に不安を抱えている。国内外で必要とするドル資金が足りなくなっているのだ。中国大手商業銀4行の年次報告書によると、2018年末時点のドル建て債務はドル建て資産を上回り、数年前から状況が一変した。2013年時点では、4行の合計ドル資産が債務を1250億ドル(約14兆円)余り上回っていた。しかし現在では貸し付けよりも、債権者や顧客から借り入れたドル資金の方が多い。こうした変化をもたらした最大の要因は中国銀行だ。かつては中国の銀行の中でドル建て純資産が最も大きかった同行だが、2018年はドル債務がドル資産を700億ドル程度上回った。実のところ、他の3行は昨年末時点でドル資産がドル債務を上回っていた。ただ、中国工商銀行(ICBC)は2017年末時点では、ドル債務の方が多かった。