近年、多くの企業が「プレゼン研修」の導入を進めている。プレゼンを学ぶことは、ただ単に社員のプレゼン能力を向上させるだけではなく、思考やビジネスに対する意識をも変え、ひいては会社全体の生産性アップにもつながるからだ。『社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』などの著者と知られる前田鎌利氏が「プレゼン研修」を担当している松竹株式会社もそのひとつ。創業120年を超えるレジェンド企業の「挑戦」をリポートする。(ライター:小嶋優子)

歌舞伎座前で撮影。左から松竹(株)森川緑さん、前田鎌利さん、松竹(株)岡田雄介さん、松竹(株)西田恵さん。

全社をあげて「プレゼン力」向上をめざす

松竹(株)人事部 西田恵さん

 松竹株式会社では、人事部の発案により、3年前から前田鎌利氏の社内プレゼン研修を導入。全社をあげてプレゼン力向上に取り組んでいる。そのきっかけは、異業種研修だったという。

「数年前に異業種研修に参加したとき、各社の社員が自社のプレゼンをしたのですが、通信関連の企業さんのプレゼンがわかりやすいうえに心もつかまれるもので、驚きを覚えました。一方、私たちのプレゼンは、言いたいことをつめこみすぎて、かえって伝わりにくくなっていました。これは、なんとかしなければと思って、その場で通信関連の企業の方に『プレゼン研修はどうされていますか?』と伺ったところ、前田先生をご紹介いただいたんです」(人事部・西田恵さん)

 すぐに前田氏に連絡を取って、プレゼン研修を実施。『社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)の内容に沿って、決裁者のGOサインを獲得するプレゼン資料の作り方を学ぶ内容だったが、これが好評を博した。理由は大きく2つある、と西田さんは分析している。

 第1の理由は、前田氏のプレゼン研修は「受けて終わり」ではなく、すぐさま業務に生かせることにある。シンプルかつロジカルなプレゼン資料を作成すれば、上司の反応は確実に変わる。そして、一発OKを獲得するという効果を実感することができるからだ。

 そして、もう一つの理由が「危機感」だという。
「松竹は創業120年を超える歴史をもつ会社です。それだけに、仕事の進め方が旧態依然としていたり、暗黙知になっていたり、『なんとなくそういうものだ』で進んでいる面があることは否めません。変化の激しい現代、これまで通りのやり方ではいけないという危機感が社員の潜在意識にあるからこそ、前田先生のプレゼン研修が響いたのではないかと思います」と西田さんは話す。