――これに続く第三号案件はどのような会社でしょうか?

 詳しくは言えないですが、米国の有名な金融機関向けメッセージプラットフォーム企業です。5月の頭くらいにリリースを出せると思いますが、金額はこれまでより少し大きくなるでしょう。

銀行が抜け出せない“与信”と“自前主義”の発想

――VCは数多くの種類がありますが、銀行系VCが持つ課題感は?

 普通に案件を進めると時間がかかることでしょうか。もともと銀行は、いわゆる政策投資という形で、顧客の安定株主として株を取得することを行ってきました。ただ、その手順に則ると非常に手間がかかってしまいます。それから、銀行の与信的な発想で戦略投資を行うのは難しいという問題があります。私たちのパートナーとなるスタートアップ企業でも、創業3~5年で売り上げも数億円ながらかなり赤字が出ているところもありますが、従来の与信の発想ではバンカブル(銀行融資が可能)ではないとなってしまうからです。

――今回の三菱UFJIPはメガバンク初のCVCですが、他のメガバンクでは、CVCを立ち上げるのが難しいものだと思いますか。

 いや、やる気さえあれば、そんなことはないと思います。銀行に限らず事業会社においても、CVCの立ち上げには課題があり、私はこれを「CVCあるある」と呼んでいます。例えば、企業のトップが経営企画部などに「オープンイノベーション(異業種との広範囲な連携)をやらないと駄目だ」と通達し、それを受けて社内の若手社員を集め、戦略事業開発部などを作ってみるケースがあります。そうすると残念ながら、投資経験の浅さから高値づかみになったり、重要な権利を押さえられずにガバナンスが効かせられなかったり、といった話になりかねません。

 また、企業の製造ラインや営業ラインがみんな期中目標に向けて取り組む中で、いきなり「オープンイノベーションをやりたい」と横からくることになるわけです。そうすると、「予算はないし、他の業務があるからやっている時間も無いよ」と、現場の反応が冷たいこともあります。背景には、「その気になったら(オープンイノベーションではなく)自分たちでできる」という自前主義への拘りがあり、この気持ちと決別できないと案件がうまくいかないこともあります。これは、三菱UFJFGとて同じことです。