金利上昇への期待が遠のく
銀行株は上値の重い展開に
新年度に入り、株式相場は堅調に推移している。低調だった日本の銀行株も、東証業種別株価指数・銀行業が4月1日から3連騰するなど、意外に良い出足を見せた。背景には、新元号発表に伴う祝賀ムードなどもあったと思われるが、大きかったのは3月後半に一時2.3%台まで低下した米国の長期金利が、4月初旬に2.5%台まで戻してきたことだろう。
しかし、その後の銀行株は再び上値の重い展開となってしまった。東証業種別株価指数・銀行業の上昇率は、日経平均株価に比べ見劣りしており、これは2019年初めからの比較でも同じである(図1参照)。
銀行株の上値が重くなった背景には、米連邦準備理事会(FRB)が年初から緩和的なスタンスを強め、3月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の追加利上げを見送る方針を示したことが大きい。世界各国の中央銀行が米国に追従し、ハト派に転じつつあり、日銀も追加緩和を余儀なくされるとの観測も浮上した。
世界的に、今後の金利上昇や金融機関の利ざや(収益)改善への期待が醸成され難い状況となってしまった。日本では、これまでの「金融政策正常化の遅れで銀行の収益低迷が長引く」という見方だけでなく、「さらなる金利低下で収益が一段と厳しくなる」という懸念さえ燻り始めた。この点は、今後の銀行株の本格回復に向けて大きな阻害要因となりそうだ。
銀行の業績も厳しい。銀行決算をここ数年継続的に見てきた立場からすると、今年1月末から2月上旬に発表された主要行の昨年10-12月期(第3四半期)決算は、これまでと明らかに潮目が変わった印象を受けた。