今回は別の事情
今後もしばらくはコピー車天国か

 昨年11月、陸風汽車の親会社である江鈴汽車が、中国のBEV(バッテリー充電式電気自動車)のスタートアップ企業、愛馳汽車(AIWAYS)と工場貸与契約を結び、今年になって愛馳汽車が陸風汽車への資本参加を決めた。出資比率は50%とも伝えられている。愛馳汽車は、江鈴汽車からX7の生産工場を借り、BEVを量産する計画を進めていた。

 中国では多くのBEVスタートアップ企業がコンセプトカーを発表してきたが、発表時点で生産工場を持っている企業は皆無だった。派手に花火を打ち上げて投資家の関心を集めることがショーの目的である。しかし、実態のないスタートアップ企業が多いため、中国政府は60社以上といわれるBEVスタートアップ企業を15社程度に絞り、工場を持っている企業にだけ生産認可を与える方針だ。

 愛馳汽車はその“15社程度”に選ばれ、中国政府の生産認可を受ける予定。つまり愛馳汽車は、中国が国家として進めるBEV普及に賛同する企業であり、江鈴汽車との連携も共産党が認可した。その愛馳汽車のBEV生産をスムーズに行わせるため、陸風汽車はX7生産工場を明け渡さなければならなくなったのだ。

 中国政府はこれまで、あからさまなコピー車については“非難する姿勢”を見せてきた。しかし、実際の裁判で中国企業が敗訴した例はなく、日欧米からは「世界の知的財産権ルールにのっとるべきだ」との指摘を受け続けてきた。今回のJLR勝訴は大きな前進のように見えるが、実態はあまり変わっていないようだ。中国は、今後もしばらくはコピー車天国であり続けるのだろうか。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)