世界各地から貨物を集める横浜港では、輸入されるコンテナ貨物の3割強が中国からの貨物が占められる。その貨物に紛れて運び込まれる偽ブランド品が増え続けている。
2015年、横浜税関は5360件の中国からの輸入差止めを行った。これは前年の4710件から650件増の約14%増であり、1日平均で約15件となる。点数にすれば5万9024点、1日平均で約162点が押収された計算だ。
その横浜税関で今年5月、あるコンテナの通関が止められた。X線を通過した際、怪しい物影が映ったのか、あるいは税関職員の第六感が働いたか、中国で積まれた貨物から出てきたのは、トヨタ「レクサス」の偽エンブレムだった。
このことは人づてに漏れ、関東に散らばる自動車部品を扱う一部の業者の間で話題になった。
まじめにものづくりに励む日本の中小メーカーからすれば、中国産のコピー品は天敵である。コピー品の生産者や販売者にどのような制裁が下されるのか。ことと次第によっては、彼らの死活にもかかわるだけに、一部の業者は敏感に反応した。
そんな中、埼玉県で貿易会社を経営する鈴木修三さん(仮名)は、あるルートを使って偽エンブレムの荷主を割り出した。「偽エンブレムを密輸したのは在日の中国人」だと語る。
日本になだれ込む偽ブランド品の仕出し国は中国が圧倒的シェアを占めている。横浜税関の輸入差止件数においても、全体の9割近くを占めているのが中国だ。今回はたまたま偽エンブレムが摘発されたが、高級ブランド品から薬品に至るまで、模倣品の密輸は枚挙にいとまがない。