金融庁も眉をひそめる
外貨建て保険の販売実態とは
安全確実にお金を増やしたい、投資信託での運用や株式投資などに興味関心がないと考える人にとって、貯蓄型保険は魅力的に映るようだ。
確かに昭和から平成一ケタくらいまでの金利が高かった時代は、養老保険や個人年金といった貯蓄性の高い保険商品で安全確実にお金を増やすことができた。50代以上の人なら「貯蓄型保険でいい思いをした」人もいることだろう。
しかし、日銀のマイナス金利政策の状況下に置かれている現在は、貯蓄型保険はまったくといっていいほど収益性はない。保険会社にとっても利益を確保するのが難しいため、売りたくないのが本音。
そこで生命保険会社各社は、「円建て」をできるだけ売らずに「外貨建て」の貯蓄型保険を、銀行や保険代理店を通じて積極的に販売するようになった。具体的には「米ドル建て」や「オーストラリアドル建て」。アメリカやオーストラリアの金利は日本の金利に比べると高いからだ。
私のもとへ相談に訪れる人の中にも「すでに加入している」、「先日勧められた」と言う人が少なくない。
一方で金融庁は昨年秋から、生命保険会社に対し外貨建て貯蓄保険の監督強化に乗り出した。特に「一時払い」タイプを問題視している。
契約時に外貨建ての一時払い保険料相当分の円をまとめて支払い、外貨で運用し、10年程度の保険期間が終了すると、収益分が上乗せされた満期金が受け取れるというもの。保険商品なので期間中は死亡保障がついているが、実質は資産運用商品である。