消費税率引き上げの影響軽減対策として予定していた教育費の無償化やキャッシュレス決済に対するポイント還元などの施策は、準備が進んでいることでもあり、景気対策に名目を変えて大半をそのまま実施するといい。もともと、日銀のインフレ目標達成には財政的な一押しが必要だったし、目標よりも大幅にインフレ率が低い状態で景気が悪化しているのだから、財政的な対策を取ることは自然だ。また、これによって増発される国債を日銀が購入することが追加的な金融緩和措置につながるのだから金融政策との平仄も合っている。

 もともと個々の支出増や減税に対して個別に財源を対応させようとする硬直的な財政の慣行が拙いのであって、マクロ経済的な環境整備にあって政府はできる事を柔軟に実行すべきだ。

衆参同日選と絡める必要はない

 巷間、米中貿易摩擦の激化や株価の下落、さらには景気判断の悪化を受けて、安倍晋三首相が消費税率の引き上げを凍結・延期することを発表するとともに、衆議院を解散し、今夏に予定される参議院選挙と同日の投票日で総選挙に持ち込むのではないかとの観測がくすぶり続けている。

 今のところ、政府・与党の要職にある人物でこの可能性に言及したのは「安倍首相の側近」との形容が付くことが多い自民党の荻生田光一幹事長代行だけだ。その後の取材に本人は「個人的な意見だ」と答えて安倍首相との打ち合わせを否定しているが、世間的には、いわゆる「観測気球」ではないかとの声が多い。

 菅義偉官房長官や麻生太郎財務大臣などの政府幹部をはじめとする与党関係者はいずれも「リーマンショック級の事態が起こらない限り、消費税率の引き上げは予定通り行う」と繰り返し答えている。

 仮に消費税率の引き上げ延期を発表する場合、安倍首相が発表することが与党にとっては政治的には最も効果的だし、まして衆議院の解散は首相の特権として扱われており、与党の議員は解散について表立って言及しないのが普通だ。「リーマン級の事態がなければ」とわざわざ留保条件を付けるところにこそ、むしろ消費増税延期発表の可能性が大きいことが感じられる。