安倍政権にとって衆参W選に
政治的合理性がある理由
天皇の生前退位と新元号への移行、そして10連休という国家的な大イベントが終わりました。その間は動きが止まっていた政治と政策がこれからまた動き出すことになりますが、当面の焦点は当然ながら7月の参院選と、10月の消費税再増税です。そこで今回は、この両者で安倍政権はどのような判断を下すのが合理的なのかを考えてみました。
まず7月の参院選については、そのタイミングで衆議院解散に打って出て衆参W選となるのかどうかが焦点となります。ここにきて、その可能性がよく報道されるようになりました。この点について、政治的な合理性の観点から考えると、やはり衆参W選で勝負をかけるのがベスト、という結論になるのではないでしょうか。
もちろん、安倍首相の悲願と言われる憲法改正の観点からもそうなります。参議院で憲法改正の国会発議に必要な3分の2を維持するには、与党が大勝した6年前の参院選以上の勝利が必要になるからです。参議院よりも衆議院の方が野党の共闘は難しいことなどを考えると、参院選での大勝のためにはW選の方が有利と考えられます。
ただ、それ以上に重要と思われるのは参院選後の政権運営の観点です。7月の参院選後の長期的な政治スケジュールを考えると、安倍首相の自民党総裁としての任期は2021年9月、そして任期満了の場合の次の衆院選は2021年10月です。
その一方で、日本の景気の先行きをざっくり予想すると、昨年までは景気はまあまあだったものの、米中貿易摩擦や世界経済の減速などを考えると、このままでも今年からは厳しくなると考えるべきです(5月20日に発表される今年1-3月のGDP成長率も、前期比マイナスという予想が多い)。それに加えて、今後は10月の消費税再増税、来年の東京五輪終了と、景気にはマイナスの要素が続くことになります。