「なるほど、兄貴。共通点、一致点が多ければ多いほど、打ち解けられるわけですね」
「あ~完全にそうやな。相手に好奇心を持って共通点を探すことやて。そんでな、共通点を、1つ、2つ、3つ重ねていく間に、どんどん『オレと一緒やんけ!』って思ってくるから、相手は完~全に『この人ええ人や。オレのこと、こんなにまで関心を持ってくれてるし、オレとの共通点たくさんあるし、この人、味方やねん』と思うようになるんやて」
「なるほど」
「そしたら、その相手とな、『親近感』とか『親切』とか『親愛』とか『親身』とか『親友』とか『親交』とかな、そういった『親』という漢字が、右から左までフルラインナップで出てくる関係になるはずや。これが、ええんや。どや、さわやかやろ」
兄貴は、得意げな顔をして、ニッと笑うと、話を続けた。
「やっぱり、一番、大切なんはな………」
兄貴は、しばらく真剣な目で沈黙し、グッと身を乗り出すと、完全に言い放った。
「『相手を自分ごとのように大切にする心』やねんて」
兄貴は、「ヤバイで、オレ、とんでもなく、ええこと言ってもうたわ」と言うと、ニッと笑った。
「相手がな、『自分のことを大切にしてくれていると感じたとき』に、お互いが、つながるわけやろ」
「はい」
「いっちゃんだって、そうだったはずや。『自分が、今、大切や』と思うとる人を、思い出してみるとわかるはずやねん。その人はな、すごい人でもなく、優秀な人でもなく、かっこええ人でもなくな、『自分を大切にしてくれていると感じさせてくれた人』だったはずやろ?」
「確かに! 確かにそうです。兄貴」
兄貴は、「せやろ?」と言うと、得意げにニッと笑った。
「つまり、それを相手に感じさせるんやて。『相手を自分ごとのように大切にする心』を持ってな、それで、相手に関心を持って質問するから、相手だって「この人、オレを大切にしてくれとるんや」と感じて、相手も自分ごとのようにこちらを大切にしてくれるんやろ。ようするにや……『相手を自分ごとのように大切にする心』こそが、=『つながり』というものだったり、=『絆』というものだったり、=『ご縁』というものだったり、するわけなんや」
兄貴は、「あ~これ、完全に間違いないで」と言うと、バフーと、白い煙を、口の周りにはき出した。
「兄貴、それ、まったく考えつきませんでしたが、でも、ものすごく、腑に落ちました」
「せやろ。せやから、いっちゃんもな、相手のことを自分ごとのように大切にするねんて。たとえば、相手が就職活動とかでな、行きたい会社を探しとったら、『がんばってね!』とか口で言うだけでなくて、相手の行きたい会社を聞き出して、必死のパッチで探しまくってな、『この5社がええと思うんやけれどどうかな?』って、相手のために実際に行動を起こしてやるのやて」
「はい」
「ほとんどの人は、『口だけ番長』で、言葉で心配するだけで、行動に移さんもんやから、『結局、他人ごとだよな……』って、相手に思われてしまうんやて。だって、もし、自分が就職活動するんやったら、そら必死のパッチで、探しまくるやろ?」
「たしかにそうです。自分ごとなら、必死で探しますね」
「せやろ。だから、そんなふうに行動する姿を見せてこそ、相手だって感動してくれて、今度、いっちゃんが就職活動するときになったらな、そら、必死のパッチで、『いっちゃん、この10社がええと思うんやけれどどうかな?』って、探してきてくれるわけやろ? そうなるためには、やっぱり、『相手を自分ごとのように大切にする心(=つながり・ご縁・絆)』が必要やねんな」
兄貴は、ぷわ~っと、天井に向けて、白い煙をはくと、完全に、ニッと笑った。