「いっちゃんな、マザーテレサって知っとるやろ。『ノーベル平和賞』をもらった、ごっつい偉い人なんやけれど、そのノーベル平和賞の『受賞パーティー』を中止した分の『お金』まで寄付した、筋金入りのええ人やねん。なんと、マザーテレサが総長をしている会のメンバーはな、123カ国、610カ所で、慈善活動をしとるねん」

「はい、もちろん、知ってます。マザーテレサ、有名すぎますから」
「そのマザーテレサの有名な言葉にな『愛の反対は、憎しみではなく無関心』という言葉があるんやけれどな、これ、まさに、オレが言っていることと、完~全に、一緒やねん。つまり、『相手に関心を持つことが愛』ってことやろ」
  兄貴は、次のタバコに火をつけると、さらに話を続けた。

「なぜ『相手を自分ごとのように大切にする心』が最も重要か? それはな、『自分がそうなら、人もそう』なんやて。『自分がしたいことは、人もしてみたい』んや。『自分が欲しいものは、人も欲しい』からなんやて、わかりますか? 『多くの人が、おんなじ思いを持っている』ということなんやて。せやからな、なんでもかんでも、他人ごとではなく、自分ごととして、必死のパッチで共有してかかるんや」

「なるほど兄貴、ものすごく、よくわかりました。『相手を自分ごとのように大切にする心(=つながり・ご縁・絆)』を大事にして、友人になりたい人と、共通点を探します。ところで、兄貴、兄貴の口ぐせの『必死のパッチ』ってなんですか?」

「あ、ヤバイ……、そこ、突っ込んできたんかいな。まぁ、関西の方言なんやけどな。昔、長屋の『おっさん』がな、運命共同体の長屋で火事があったとき、パッチ(ももひき)姿のまま、必死に、水まいて、火を消しとったんや。いわゆる、身なり構わず、無我夢中でなしえる精神というやつやな、ガハハハッ!」
  そう言うと、兄貴は、高らかに笑った。

「兄貴、僕は、今までは、誰かと会ったときに、相手との共通点よりもむしろ、『自分と合わないところ』とか、『自分と違うところ』ばかり探してきたような気がします。『この人は自分と、こんなところが違うから、好きになれない』とか」

「そのとおりや。今の日本人はな、『自分と他人の違うところ』ばかりに目を向けて、すぐに『分類』したがるやろ。分けるのが大好きや。でもな、この『分類してしまう』ということが、相手との関係を台無しにするんや。『この人は、自分と性格が合わない人だ』とか、『この人は、自己中心的な人だ』とか、『この人は、自分とは住む世界が違う人だ』みたいな。そうやって『分類』してしまうことでな、一緒にいられる心地のよい人を、かぎりなく自分で狭めてきたんや」

  兄貴は、両方の鼻の穴から、白い煙をはき出した。

「そうですね。僕も、価値観的に違うところが見え隠れすると、そこだけ、特に気になってしまいます。この人は僕と『違う』って…」
  兄貴は、グッと身を乗り出して言った。

「それ、違うねん。100%性格とか好みが一致する人なんかいてないのやから、『自分との違い』を必死のパッチで見つけて分類ばかりしていたら、本当に少数の人としか、仲よくなれないやん。そうでなくて、相手との共通点を探してかかるんや。一見、『コイツはオレと違う』と思えるようなヤツでさえ、『相手を自分ごとのように大切にする心』を持ってすれば、共通点は目白押しで見つかるもんやしな、『つながり』も『絆』も『ご縁』も、共通点から育まれるんやて」

  兄貴は、周りを見回すと、「せやろ」と言って、ニッと笑った。

……そして、その10秒後、「アカン、完全にウンコもれそや」と言うと、兄貴は一目散にトイレへ駆け込んだ。

【兄貴の教え 1】一番大切なのは「相手を自分ごとのように大切にする心」
 

(【第2話】「お金の使い方」につづく)
 

 ※次回配信予定は6月26日(火)です。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

定価:1,680円(税込) 四六判・並製・434頁 ISBN978-4-478-016602

『大富豪アニキの教え』
バリ島に住む世界レベルのウルトラ大富豪アニキ、初出版!
「やばいで、オレ、人生を変える、とんでもない秘密を、バラしてもうた」(byアニキ)。
本書は、99%実話の物語(ストーリー)。年収295万円、31歳ダメサラリーマンの鈴木一郎(いっちゃん)が、バリ島に住む世界レベルのウルトラ大富豪アニキに出会い、【25の教え】をこうて、人生の大逆転をはかる物語

 ご購入はこちらから
[Amazon.co.jp][紀伊國屋BookWeb][楽天ブックス]